管理人の独り言 le monologue

「実録解離性障害のちぐはぐな日々」

先日、西荻窪の信愛書店で開催されている、Tokinさんの個展「少しだけ先の場所」に行って、彼女の著書「実録解離性障害のちぐはぐな日々」を購入しました。 この本は、解離性同一障害(多重人格)のTokinさんの実体験を漫画というかたちをとって、コミカルに描いたものです。

実録解離性障害のちぐはぐな日々

そもそも私が多重人格というものを意識したのは、1970年代にやっていたテレビドラマ「私という他人」でした。内容はよく覚えていませんが、主演の三田佳子さんの人格が派手になったり、子供のようになったりするのをみて、こういう人もいるんだなと不思議な気持ちになったのを覚えています。その後、NHKで海外(多分アメリカ)の解離性同一性障害の女性のドキュメンタリーをやっているのを、たまたま目にしました。10以上の人格が交互に現れ、まるで別人のようにふるまい、フィクションでない患者をみたのはその時がはじめてでした。治療のひとつだったと思うのですが、壁に粘土のようなものをたたきつけるというシーンがあって、ものすごい力でたたき続け、その時の感情の激しさにとても驚きました。患者さんは、ものすごいストレスをかかえこんでいるんだなぁ思ったのが一番印象に残っています。

「実録解離性障害のちぐはぐな日々」を読んで、このドキュメンタリーを思い出しました。ですが、印象が全く違いました。もっとふんわりと病気の内容が頭に自然に入ってくるという感じで、きっと誰もが起こりうることなのだなと思いました。私は別人格が現れたことがないので、共感することはできないけれど、ずっと前から気になっていた病気のことを理解するのには、大変役立ちました。

なによりもこの本は漫画として面白い。自分の弱い部分や悩みををさらけ出すことは、大変な苦痛や努力をともないます。それをうまく消化して、重くならずに描いているのが素晴らしいと思います。すでに再販も決まったそうで、この内容を思えば、さもありなんの感があります。 個展でみたイラストも、そういう悩みをかかえた人にしか描けない、不安定さを感じるけれど美しい作品です。 展示は11日までやっています。もちろん本も買えます。3連休に西荻方面に行かれる方は覗いてみたらいかがでしょうか?