マスクの話
郵送で届いた通販の冊子をなにげなく開いて、驚きました。マスクの通販の多いこと多いこと、ほとんどがかなりの高級品、2枚で5000円とか、それ以上もありました。高っ。ページを繰っても繰ってもマスクがでてきます。ってことは、今一番売れるのがマスクってこと?
1年前には考えられなかったことです。
私は花粉症なので、毎年2月~4月くらいはマスクで外出していました。花粉症多しといえども、マスク姿はそんなにはいませんでした。今はマスクをしていない人を探すのが大変なくらいに、街中マスク姿があふれています。
コロナ感染者が増えたせいで、「静かなマスク会食」と政府が言っていますが、マスクつけたりはずしたりしながら食事するのって、コロナ対策としては少しは有効なのかもしれないけれど、頻繁なつけはずしは、不衛生なのではないかという気がします。それにそんなちまちましたことよりも、もっとどーんとしたことを表明してほしい。なーんて思っていたら、「Go to 一時停止」のニュースが入ってきました。遅っ、やっとですかー。
「Go to」が停止になろうが、なるまいが、マスク生活は当分続きそうです。
そういえば、マスクが不足していて高額な使い捨てマスクが売られていたのは、およそ半年前。今や使い捨てマスクを高い値段で買う人はいないでしょう。たった半年で、もはや隔世の感があります。いまや高級マスクが通販で売っている時、今後はどうかわっていくのでしょうか?マスクは世につれーとなってしまうのでしょうか?
今週の展示は、スサイタカコ個展「トランスフォーマー」、絵画、立体、映像のインスタレーション。天井からつるされた未確認物体?がフワフワ、ウヨウヨ、楽しく愉快なスサイタカコワールドをお楽しみください。11月24日まで。
日本と中国と
開催中の「アンド個展」の作家アンドさんは中国からの留学生、W大学に在学中だそうです。専門は経済だそうですが、日本文学の知識には、舌をまくほどです。いやしくも、私は大学は日本文学専攻です。だからアンドさんとほぼ対等に話ができるけれど、平均的な日本人だったら、日本文学の分野では多分負けるだろうなと思うほどです。
作品にも、それがよくでています。インスタレーションは古事記、イザナギ、イザナミの国生み神話からの創造物だし、映像は百人一首、わざわざ読み手の方に頼んで録音したそうです。 とはいうものの、日本人の感覚とは少し違うので、なつかしい感じがするけれどなんだか違う、異国情緒のある展示となっています。
搬入時は、友人の中国からの留学生3人がお手伝いにきてくれて、ギャラリーの中は中国語の世界。みな日本語が話せるので、私とは日本語だけれど、皆の会話が中国語、何を言っているのかさっぱりわかりません。でもこういう雰囲気、私は意外と好きです。もうずいぶん海外旅行もしていないけれど、海外に行った気分になりました。
日本はもう先進国とはいえないんじゃないかと思う中、日本に勉強にきてくれている彼らにはいろいろ思うところがありました。「日本にいるのが楽しい」というアンドさん、すべての人がそう思える日本でありますように。
今週は上記の「アンド個展」です。インスタレーション、映像、写真、日本と異国情緒が混在した展示に是非お越しください。17日まで
ずーと我慢
一昨日、開催中の展示「バスタブロマンチカ」の搬入の時に、参加作家さんの一人がこんなことを言っていました。 「こうやって搬入中に、展示のことをいろいろ言うのが、久しぶりすぎて涙がでてくるほど嬉しい」と。
この気持ちすごくわかります。7月に3か月ぶりの展示、ギャラリー企画展の搬入時に、私も同じことを思いました。ギャラリーに作品が並んでいくのが、ギャラリーを始めたころのようにとても嬉しかった。もう400回近くも搬入やっていて、当たり前になっていたはずなのに、こんなことを思う日がまたくるとは思ってもみませんでした。
そういえば最近、「ウィズ コロナ」と言われているので、私もそろそろと歌舞伎や美術館など芸術に触れたり、ソーシャルディスタンスがとれそうなところで、少し贅沢なランチをしたりしています。ひとつひとつが久しぶりだからなのか、思いもかけないほど感無量な自分がいます。
ずーと空きが多かったギャラリーも、この1か月くらいで、立て続けに予約をいただいたり、見学にきていただいたりしています。本当にみんな動きたいのに我慢していたんだなぁとつくづく思います。この我慢が吉とでますように。
久しぶりの展示は「バスタブロマンチカ」。19人の作家による「バスタブ」をテーマにしたイラストの展示です。せっけんのいい香りがしてきそうな素敵な展示です。19日(月)まで。
DOWNORDUSK
先日ギャラリーを借りてくださった、Works-Mさんの新作公演「DOWNORDUSK」があったので行ってきました。
8mくらいの白いスクエアの中で7人が踊る、80分ほどのコンテンポラリーダンス。タイトルの「DOWNORDUSUK」は「日の出か日没か」という抽象的な意味どおり、内容も抽象的であまりストーリー性がない(あるのかもしれませんが、私にはよくわからなかったです)ものでしたが、その躍動感に80分という時間が短く感じられました。特に後半部のパワフルなダンスが圧巻で、ダンスで鍛えられた体は男女問わず、何て美しいのかと感動しました。
とはいうものの、今一番印象に残っているのが、最初にでてきた女性のゆっくりと動く、まるで能の歩みのようなすり足。そこに能の「隅田川」(母が子供をさがす狂女物)を思い出しました。ゆっくり歩くことで何千里も歩いたことをあらわすので、これもそんなことを意図しているのかもしれないと、勝手に思ったりしました。(制作の意図はわかりません)学生のときはよく能をみていましたが、もう何十年もみていないのに、そんなことを思い出したのが不思議な気がしました。
コロナ対策で、観客を白いスクエアのまわりに40名弱しかいないという贅沢な環境。 先日行った歌舞伎座も、座席は一つ置き、桟敷席もなし、さみしい感じはするけれど、本当に好きな人だけが来ているという心地よい空間で、今回も同じことを感じました。美術館も予約制で人数制限しているところも多いし、涼しくなってきたし、今のうちに気を付けながら芸術を堪能したい、そんなことも感じました。
コンテンポラリーダンスの公演をみるのは初めて。こういう機会を与えてくれたWorks-Mさんに感謝です。
プロジェクター
ギャラリーでレンタルしていたプロジェクターがとにかく古い。もう10年以上前に購入したものです。デジタルのHDMI対応のものが欲しいとずっと思っていました。ただ、人様に貸すものならある程度のレベルのものが欲しい、となると価格はそれなりにします。今年はコロナの影響で展示も少ないし、プロジェクターを使う方もいないし、どうしたものかと思っていたところ、現在開催中の展示『Hiroyuki Miura solo exhibition「語る末端」「在/不在」』でプロジェクターをレンタルしたいというお申し出があり、それならばと、背中を押されたような気になりました。
買うとなれば、この手の買い物はいつもかなり調べます。そもそもプロジェクターに関してはそんなに詳しいわけではありません。とにかくHDMI対応と、今つかっているものよりも解像度のよいもの、スペースを真っ暗にして使うことはほぼないので、照度のあるものをというのを基準にして調べまくりました。
目についたのがエプソンのEB-1780。これならば、明るさ3000ルーメン(今は2200ルーメン)、解像度も今より上のWXGA、モバイルタイプなので省スペース、もしかしたら、ギャラリーに古いのと2台とも置いておけるかもしれません。日本製だし、もちろんHDMI対応、いいじゃんいいじゃん。
よく調べると細かいところで少し気に入らないところもあったのですが、価格も含めてこれに勝るものは見当たらなかったので、これに決めました。
そうしたら、今開催中の展示ではプロジェクター3台使用するとのこと、1台はお持ち込みいただいたのですが、新旧2台とも借りていただけることになりました。古いほうでも十分使えるので、なんとも嬉しい結果に。購入したかいがあったってもんです。
プロジェクターが2台あるってちょっと嬉しい。新しいものをメインにして、古いほうもうまく活用できるといいなーと思います。
今週は上述の『Hiroyuki Miura solo exhibition「語る末端」「在/不在」』、インスタレーション・映像・パフォ―マンスの展示。一言でいうとかっこいい展示です。メトロノームの音が心臓の鼓動のように感じ、それにともなう映像とパフォーマンスで、「人間」を感じさせます。じっくりご覧になる展示ですので、お時間に余裕をもってお越しください。11日まで。
フリーペーパー「in」
2年ほど前に、当ギャラリーで展示してくださった断面展の参加作家さんたちも参画している、多摩美術大学統合デザイン学科の有志制作のフリーペーパー「in」に広告を出してくれないかというメールが届いたことがありました。添付してあった「in」の企画書をみたらなかなかしっかりした内容、しかも次が7号なので、長く続けて発行しているようで、「へー、頑張ってるな」という感想でした。
そのときは協力できなかったのですが、いつか何かできればいいなーと思っていました。このたび、少しだけなら協力できるかもと思い、「断面展」参加の学生さんに仲立ちをお願いし、「in」編集部にほんのわずかながら支援をさせていただきました。
そうしたら、編集スタッフがフリーペーパー「in」をわざわざギャラリーまで届けてくださいました。
マットな質感のフリーペーパーの、今号のテーマは「街」。学生さんらしい若い視線が新鮮です。おしゃれなデザインで、ところどころにロゴが宝探しのように隠れているのも面白いです。冊子としてはまだまだ工夫の余地があるかなと感じさせるところがまだのびしろがありそうで、そこがまたいいなーと感じました。
「in」とは「integrate(統合)」の略だそうで、こんなところにもこだわりを感じます。Webだけのフリーペーパーにするという話もあるらしいですが、紙派のアナログな私としては、是非紙媒体も残して欲しいと心から思います。
来てくださった学生さんと、「in」から離れて、少し他の話もしました。今の大学の授業はオンラインで、講評もデジタルで提出するという状態らしく、何よりも他の人が何をやっているのかが全く見えないのが不安とのことでした。美大はとくにそうかもしれませんが、やはり実際にいろいろな人やものに触れるのって大切なんだなぁと、これはギャラリーの存在意義にも通じるものではないかと感じました。コロナ禍の中、これからのギャラリーってどうなるんだろうという不安はありましたが、もう少し頑張ろうという気になってきました。
たわいのない雑談であっても、世代の違う人からの話って貴重だなと改めて感じた日でした。ありがとうございました。
MaroFes 2020
ただいま、ギャラリー企画の展示「MaroFes 2020」が開催中です。
この展示は、若くして2011年に亡くなったイラストレーターのmaroさんのメモリアル展示です。亡くなる2、3日前に「展示やりたかった」というメールをもらったのが、そのきっかけでした。それからいろいろなことがあり、9年たってやっと実現できた展示なので、いろいろな思いがあります。
参加作家もmaroさんと仲良しだった作家さんたちにお願いしました。「私のことで悲しまないで みんな楽しく生きてね」というmaroさんの最期の言葉にたがわぬよう、楽しく元気になるような展示を意識しました。来廊のお客さまも「元気になりそうですね」「楽しい展示ですね」という声が多く、あーその通りになったなぁと嬉しい気持ちでいます。
今回、作家さんに「maroさんに向けた作品を1点以上」というお願いをしています。それぞれ思いが伝わってきてよい作品ばかりなのですが、その中のひとつninko ouzouさんが、maroさんの作品をモチーフにして制作してくれました。
それがこれ。
上がmaroさんの作品、下がouzouさんの作品「MY HOME -温かなあなたの存在 -/改」です。このように並べてみると、似てはいるけれど、それぞれの個性がでていて面白いと同時に、温かな気持ちになります。モチーフとして使いながらも、自身の作品に仕上げたouzouさんの実力も感じます。
このmaroさんの作品だけは私が所有しているものではなく、所有しているお客様にお願いしてお借りしたものです。ありがとうございます。
コロナ禍の中、開催できるかできないかで、毎日胃が痛い思いでしたが、思い切って開催してよかったと思っています。 ギャラリーの展示としても3か月ぶりで、展示ができる喜びを感じています。はやくコロナがおさまって、普段通りになってほしいと心から思います。
「MaroFes 2020」本当に素敵な空間になりました。無理のないようにお越しいただければ幸いです。7月12日まで開催しています。
アジアのコロナ感染者
以前オーストラリアに行ったときに、変わった虫に刺されたことがあります。刺されたときは少し痒くて刺された口が2つあるくらいで大したことはなかったのですが、時間がたつにつれて、まるでやけどをしたときのように水泡になり、だんだん大きくなっていきました。現地の人によれば、一部のアジア人しか水泡にならないそうで、「へーそんな虫いるんだ、さすがは南半球。でも一部のアジア人に(私が)あたっちゃうなんてねー」などと思ったものでした。
今のコロナ感染症を思うに、アジアの国の感染者数と死者数が何故か少ない。死者数の人口の割合は日本、中国、韓国がほぼ同じだそうで、欧米の割合よりかなり少ないです。日本はPCR検査数も圧倒的に少ないし、欧米のように厳しいロックダウンをしたわけでもない。もともとの手洗いの習慣やマスクへの抵抗がないという要素もありそうですが、それにしてもこれくらいで収まっているのは、ありがたいことですが、不思議な気がしていました。
そこで思い出したのが、前述の虫、「アジア人だけが水泡になる」ということ。 欧米人とアジア人との体質の違いというのが関係しているのではないかという気がします。考えてみれば、顔つきや体形など見た目はかなり違います。体質が違っていたって何の不思議もない。コロナで重症になりにくいと考えてもおかしくないのかもしれません。もちろん何の根拠もないことですが。
いずれにせよ、はやく収まって普通の生活になり、心配なく展示ができるようになりますように。
10万円支給で思ったこと
新型コロナによる自粛要請により、ギャラリーも4月、5月は休んでいます。「Stay Home」を守って、4月になってから電車には乗ることもなく、ひきこもっておりますが、意外と平気です。ひきこもり体質だったのねぇと思うこの頃です。
政府の補償政策もやっと決まり、ひとり10万円支給されることになりましたが、これはこれでいろいろな問題がでてきたようです。
その中に世帯主の口座に一括で支払われるということがあります。これにはちょっと違和感があります。家族円満の家はまだいいですが、そうでない家はどうなる、世帯主(たいていは男性ですね)が独り占めしてしまうのではないか?そうでなくても、世帯主以外の人も働いていたとしたら… ちょっとおかしいんじゃないと思わざるを得ません。
もっと細やかな対応ができないものか?と思ったのですが、そんな配慮をしていると、支給が遅れてしまうのは明らかです。決定までさんざん時間がかかったのに、ここでまた遅れてしまうのは得策ではないと思います。今の日本では世帯単位で考えているので、致し方ないのかもしれません。それを個人単位にするのがマイナンバーなのでしょうが、マイナンバーカードの取得率は約15%だそうで、これではマイナンバーを生かすことも難しそうです。
マイナンバーカードについていえば、私は持っています。取得するにあたっては、個人情報の流出などが心配で躊躇したのですが、どうしてもe-taxにしたかったので、申請のわずらわしさを乗り越えて取得に至りました。おそらく皆そんなことを思って、マイナンバーカードの申請をしないのかと思います。しかし、もし皆がマイナンバーカードを持っていたとしたら、少なくとも世帯主の口座に一括ってことはなかったんじゃないかという気がします。
マイナンバーカードの是非はともかくとして、新型コロナウィルスの流行は、例えばマスクや機械部品などの製造を中国に頼りすぎていたとか、いろいろなことを気づかせてくれます。
早くおさまって、普段の生活に戻れることとともに、この教訓を生かせる社会になることを願ってやみません。
花の名前
一足はやい春がやってきた今年は、さまざまな花があちこちで咲いています。
新型コロナウィルス騒ぎで、外出を少なくしているせいもありますが、その分近所を歩くことが多くなってきています。近所といえどもあなどることなかれ、裏道に入るといろいろな花が咲いています。
そんなわけで、ジュイエInstagramにも、最近は、展示の紹介をするとともに、綺麗だなと思った花を載せています。そうなると梅や桜やモクレンなどのよく知られた花以外も目につきます。花の名前に詳しいわけでもなく、「何という名前の花なのだろう」と思うことが多々あります。
Instagramに載せるからには、花の名前くらいいっしょに添え書きしたい、ハッシュタグもつけたいってわけで、最近は花の名前を調べています。しかし、即座にでてくるであろうアプリは使わないで、WEBで地味に調べています。
例えば、今の時期によくみるこの花、
「春の花、薄紫、雑草」というキーワードで画像検索して、でてきた花をひとつずつチェックします。これと思ったのが「ハナニラ」。葉の形がニラのようで、葉を傷つけるとニラやネギのような匂いがして、別名スプリングスターフラワーというそうです。ここまで関連つけると多分忘れない、少し苦労しないと最近本当に覚えられません。
大学の時の友人に、とても花に詳しい人がいます。「この花何?」と聞くと、即座に答えてくれて、彼女の知識が羨ましいほどでした。今ではめったに会うことがないので、当時のように聞くことができませんが、代わりにネットで調べることができます。ほんの少しだけ彼女に近づけたような気がするこの頃です。
今週の展示は「夜の暮」。イラストレータ、涼(suzu)さんの個展です。大人になりかけた少女の憂いをおびた、美しく、また少し不思議な雰囲気のするイラスト展、油彩・水彩・鉛筆画と多彩な技法の展示をお楽しみください。24日まで。