石岡瑛子展
緊急事態宣言が出ている今、ギャラリーと近所の買い物くらいしか行かないという「stay home」真っ最中であります。とはいうものの、ずーっとこういう生活をしていると、時々、無性にどこかにお出かけしたくなります。年初に買った洋服も着てみたいしー、というわけで、評判の高い「石岡瑛子展」に行ってきました。
ネットで予約して、いざ東京都現代美術館へ。ここも行ってみたい美術館だったので、道中からテンションがあがります。 で、展示はどうだったかというと、「凄い」の一言につきました。グラフィックデザイン、装丁、舞台、映画、衣装と多岐にわたる作品は、ひとつとってみても素晴らしいのに、それがすべてにわたっていて、これでもかこれでもかと責め立てられるような気さえしました。そういえば、この展示には「血が、汗が、涙がデザインできるか」という副題がついていましたが、この言葉でも足りないくらいで、それくらい凄かったです。
その中でも、一番印象に残ったのが「ミシマ-ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」で、ドラマチックな三島由紀夫の人生を視覚的にみせたこの映画は、短いダイジェストの映像と、映画に使用した歌舞伎の屋台くずしを大がかりにしたようなセットの展示だけでも想像できるような「凄み」を感じました。
たっぷり2時間かかったこの展示は、久しぶりのお出かけに満足以上のものを与えてくれました。そして、いろいろな意味でとても疲れた展示でもありました。 石岡瑛子展は、2月14日まで開催しています。
それにしても、美術館の予約制というのは、適当な人数で、待ちのストレスなくみれてとてもいいなーと思います。これは、コロナ収束後も続けてほしいものです。
今週の展示は、寒河江絹代個展「空想旅行」、テキスタイルアートを展開して、東南アジアを思わせる架空旅行を想像する楽しい展示です。作品につけられているキャプションも読みながら、ギャラリーで空想旅行を楽しんでください。9日まで。
オンライン写真展
東京は年明けからまもなくして、緊急事態宣言が出され、少し収まってはきたものの、まだまだ気を緩めてはいけないという状態です。
そんな年始に、15日から展示予定だった小岩井ハナさんから連絡があり、「遠方から来られる方も多いので中止したい、ただし、1日だけ展示して、あとはオンライン展示としたい」という申し出がありました。本来1日だけの展示は受けていないのですが、そもそも5日間で借りてくれたものだし、コロナ禍という事情もあります。そのつもりで準備してきているだろうし、それを無にさせてしまうのもとても残念な気がして、1日だけの展示をお引き受けすることにしました。
そのときの展示の様子はこんな感じでした。
そして、今日(1月25日)から1月31日まで、小岩井さんの「note」でオンライン写真展が配信されました。展示の様子をそのまま、動画や写真で配信するのも悪くはないと思います。とはいうものの、実際の展示というのは、展示ごとに違う雰囲気があり、それぞれの空気が流れます。それを感じるのはオンラインでは難しいと、私は思っています。
しかしながら、このオンライン写真展は、小岩井さん自身が、「このonline写真展は、本来開催するはずだった写真展の「代わり」ではありません。online写真展用にまた構成をし直した展示になっております」と語っているように、単にギャラリーでの展示を配信したものではありません。もちろん使用した写真は同じものですが、文章で思いを語りながらの写真ならではの構成となっています。それをギャラリーの展示とうまく組み合わせての配信です。
実際の展示で受けた印象と、オンライン展示での印象が違っていて、同じ素材なのに2つ展示をみたような気になりました。
これからの展示はオンラインを組み合わせて、というのも増えていくことでしょう。それには、作家さんの負担も増えていきますが、「note」や「youtube」、通販サイトの「base」など、誰でも気軽につかえるコンテンツを組み合わせてのこのオンライン写真展は、その参考となるものになりそうです。
小岩井さんの熱と努力に、襟を正されたような気になっています。 私ももっと頑張らなくっちゃ。
小岩井ハナオンライン写真展はこちらからみることができます。
小岩井ハナonline写真展「どうしてこんなに寂しいんだろう」
今年最後の展示
ギャラリーでは「vimoque展」が開催中です。
こちらは、裁縫師vimoqueさんの作品と所有のアンティークな洋服の展示です。自身の作品とその作品のもとになっている100年ほど前のvimoqueさんコレクションの洋服をいっしょに展示するという、大変珍しい展示です。ギャラリーにところせましと飾られているそれらは、クラシカルな服好きの人にはたまらない空間ではないかと思います。
ジュイエの空間は白いキューブではなく、真ん中に壁のある不規則な形をしています。その形をも存分に生かしてくれているこの展示は、今年最後にふさわしく嬉しい気持ちでいます。
今年2月くらいからコロナ禍が始まって、12月にいたる今でもそれは収まる気配がありません。緊急事態宣言があり、ギャラリーもずーと開けられなくて、7月に思い切って企画展を開催。秋になって急に予約が入り始め、立て続けに展示をすることになり、消毒や換気など感染予防に気をつけながらのいつもと違う展示は、いろいろ神経をつかうことでもありました。
無事に今年も終えられそうだし、頑張ったよねー自分ってわけで、自分にごほうびにvimoqueさんにオーダーで依頼しました。メンズ仕立てを私のサイズでー。わーい、わーい。でも「自分にごほうび」はよくある言い訳かも?へへへ。
今週の展示は、上述の「vimoque展」、デザインの素晴らしさや、縫製の丁寧さをじっくりみていただきたい展示です。22日まで。
年賀状の話
12月も中旬になりました。今年もわずかです。
ここ数年、この時期なると「年賀状どうしようかなぁ」と思います。もう今はSNSがあるので、年賀状なんかはやらない。Lineにだって、お正月の可愛いスタンプいっぱいでてるしなぁ。年賀状なんて時代遅れかも…
しかしながら、今年も所有の浮世絵からとった、いい感じの七福神の絵もある。ある方が私のために作ってくれた名前の篆刻(石を彫ったハンコ)もこんなときじゃないと使う機会がないし、使いたい。だけど時間かかるし面倒なんだよなぁーという葛藤があります。
数年前、年賀状だけのやりとりになってしまった方の(全く面識のない)奥様から、亡くなったというハガキをいただいたことがあります。もし、年賀状のやり取りが続いていなかったら、亡くなったことを知ることもなく、音信不通のまま終わってしまったんだなと思います。
年賀状には、ほとんどの方に添え書きをすることにしています。だから時間がかかるのだけれど、添え書きをすることによってその方の顔を思い出します。そして年賀状をいただけば、やっぱり嬉しい。
やっぱり今年も出そう!と思ってインクジェットの年賀状買ってきました。まだ真っ白なままだけれど…
今週の展示は、「ANDANTE」、ジュイエでは4回目、お馴染みの FIELD EDGE DESIGNZさんの革製品の展示です。ハイクオリティの革製品はみているだけでうっとりします。フライヤーにもある革のコート「ANDANTE」はふわふわで、身に着けたら幸せな気分になりそうです。15日まで。
紙袋1種類
先日、●NIQ●Oでお買い物をしました。買ったのはパンツ(下着の)と靴下。
パンツは、以前はビニールの袋で個包装されていて、それが気に入っていたのですが、今は折りたたんで紙ではさむ、半包装のような状態になっていました。まあいまどきは、ビニールのことはいろいろ言われているので、しかたないかと思いつつ、レジにもっていきました。
買い物袋はもっていましたが、すでに買い物したものが少し入っていたし、これからパンやら食べ物を買い物する、そこに半むき出しの下着をいれるのは、ちょっと抵抗がありました。これはお金を払っても袋がほしいなと思い、レジで「袋お願いします」と言ったら、出てきたのが、10円の紙袋。とってのついたA4サイズはゆうに入りそうな、まちつきのよくみるサイズの紙袋でした。繰り返しますが、私は買い物袋はもっていました。持参の買い物袋に下着と靴下をいれるに、小さい袋がほしかったのに、こんな大きい袋では意味ないじゃん。もう少し小さいのをと要求すると、これしかないとのこと。
ひぇー、コンビニだって何種類か袋用意してあるのに、サラダとか買うと無料で小さいビニールの袋にいれてくれるのに、天下の●NIQ●Oが1種類しか袋置いていないなんてびっくりです。ビニールを使いたくないなら、小分けの小さい紙袋用意すればいいんじゃないでしょうか。いくらなんでもやりすぎ、消費者のことを少しは考えてください。私みたいな人少なくないと思うんですよね。お金を払わないわけじゃないんだから…
でも、レジで茫然としている私に、これしかないんですけどといいながら、機転をきかせてフェイスカバーに品物をくるんでくれた店員さん、good job!(紙袋よりこっちのが高いのでは?)
今週の展示は、「ひとひらのバラード」ALIGHT 展示 即売会、フェミニンな洋服の展示。夢の世界に迷い込んだような素敵空間になりました。奥の小スペースでは、今回展示している洋服のファッションショーの映像を流したり、フィッティングルームになったりと、ジュイエ空間を存分に生かしていただいています。12月8日まで。
再放送
今日の天声人語に「ヒット商品番付」の中の西前頭2枚目の「再放送・再上演」のことが書いてありました。
「ヒット商品番付」とは、毎年、今年を振り返る商品や出来事を番付化して、日経やSMBCコンサルタントが発表しているものです。今年のコロナ禍の中のヒット商品が多く、さもありなんという感じです。
天声人語の筆者は「未来少年コナン」を40年ぶりに見て心を奪われたとありましたが、私にも再放送で心に残ったものってあったっけ、ないかも、と思っていたらありました。緊急事態宣言がでていたころに再放送された「Jin-仁」。ふとしたことから江戸時代にタイムスリップしてしまった現代の医者が、感染症などと戦うという話ですが、内容の面白さとともにこのコロナ禍とつながるところがあって、再放送にはまってみていました。
この「Jin-仁」の最終回は、ほぼ10年前、入院していた病室でみました。9時消灯なので、真っ暗になった病室で、隣のベットの方とそれぞれのテレビをそっとつけて見ていた記憶があります。終わったあとお隣さんと「面白かったですねー。おやすみなさい」と言いながら楽しんでいたのを思い出しました。
すぐれた番組の再放送は、その内容だけではなく、そのとき何をしていたのかも思い出すものなのですね。何事もいいものはいくら年月がたってもいいということなのでしょうか。
今週の展示は、「サンガーノ個展」、アクリル画の展示です。油絵と見まがうアクリル絵の具のマチエール、正面の大作は特に見ごたえがあります。全く雰囲気が違う奥の小スペースの作品は、去年行ったアフリカに触発されたものだそうです。12月1日まで。
マスクの話
郵送で届いた通販の冊子をなにげなく開いて、驚きました。マスクの通販の多いこと多いこと、ほとんどがかなりの高級品、2枚で5000円とか、それ以上もありました。高っ。ページを繰っても繰ってもマスクがでてきます。ってことは、今一番売れるのがマスクってこと?
1年前には考えられなかったことです。
私は花粉症なので、毎年2月~4月くらいはマスクで外出していました。花粉症多しといえども、マスク姿はそんなにはいませんでした。今はマスクをしていない人を探すのが大変なくらいに、街中マスク姿があふれています。
コロナ感染者が増えたせいで、「静かなマスク会食」と政府が言っていますが、マスクつけたりはずしたりしながら食事するのって、コロナ対策としては少しは有効なのかもしれないけれど、頻繁なつけはずしは、不衛生なのではないかという気がします。それにそんなちまちましたことよりも、もっとどーんとしたことを表明してほしい。なーんて思っていたら、「Go to 一時停止」のニュースが入ってきました。遅っ、やっとですかー。
「Go to」が停止になろうが、なるまいが、マスク生活は当分続きそうです。
そういえば、マスクが不足していて高額な使い捨てマスクが売られていたのは、およそ半年前。今や使い捨てマスクを高い値段で買う人はいないでしょう。たった半年で、もはや隔世の感があります。いまや高級マスクが通販で売っている時、今後はどうかわっていくのでしょうか?マスクは世につれーとなってしまうのでしょうか?
今週の展示は、スサイタカコ個展「トランスフォーマー」、絵画、立体、映像のインスタレーション。天井からつるされた未確認物体?がフワフワ、ウヨウヨ、楽しく愉快なスサイタカコワールドをお楽しみください。11月24日まで。
日本と中国と
開催中の「アンド個展」の作家アンドさんは中国からの留学生、W大学に在学中だそうです。専門は経済だそうですが、日本文学の知識には、舌をまくほどです。いやしくも、私は大学は日本文学専攻です。だからアンドさんとほぼ対等に話ができるけれど、平均的な日本人だったら、日本文学の分野では多分負けるだろうなと思うほどです。
作品にも、それがよくでています。インスタレーションは古事記、イザナギ、イザナミの国生み神話からの創造物だし、映像は百人一首、わざわざ読み手の方に頼んで録音したそうです。 とはいうものの、日本人の感覚とは少し違うので、なつかしい感じがするけれどなんだか違う、異国情緒のある展示となっています。
搬入時は、友人の中国からの留学生3人がお手伝いにきてくれて、ギャラリーの中は中国語の世界。みな日本語が話せるので、私とは日本語だけれど、皆の会話が中国語、何を言っているのかさっぱりわかりません。でもこういう雰囲気、私は意外と好きです。もうずいぶん海外旅行もしていないけれど、海外に行った気分になりました。
日本はもう先進国とはいえないんじゃないかと思う中、日本に勉強にきてくれている彼らにはいろいろ思うところがありました。「日本にいるのが楽しい」というアンドさん、すべての人がそう思える日本でありますように。
今週は上記の「アンド個展」です。インスタレーション、映像、写真、日本と異国情緒が混在した展示に是非お越しください。17日まで
ずーと我慢
一昨日、開催中の展示「バスタブロマンチカ」の搬入の時に、参加作家さんの一人がこんなことを言っていました。 「こうやって搬入中に、展示のことをいろいろ言うのが、久しぶりすぎて涙がでてくるほど嬉しい」と。
この気持ちすごくわかります。7月に3か月ぶりの展示、ギャラリー企画展の搬入時に、私も同じことを思いました。ギャラリーに作品が並んでいくのが、ギャラリーを始めたころのようにとても嬉しかった。もう400回近くも搬入やっていて、当たり前になっていたはずなのに、こんなことを思う日がまたくるとは思ってもみませんでした。
そういえば最近、「ウィズ コロナ」と言われているので、私もそろそろと歌舞伎や美術館など芸術に触れたり、ソーシャルディスタンスがとれそうなところで、少し贅沢なランチをしたりしています。ひとつひとつが久しぶりだからなのか、思いもかけないほど感無量な自分がいます。
ずーと空きが多かったギャラリーも、この1か月くらいで、立て続けに予約をいただいたり、見学にきていただいたりしています。本当にみんな動きたいのに我慢していたんだなぁとつくづく思います。この我慢が吉とでますように。
久しぶりの展示は「バスタブロマンチカ」。19人の作家による「バスタブ」をテーマにしたイラストの展示です。せっけんのいい香りがしてきそうな素敵な展示です。19日(月)まで。
DOWNORDUSK
先日ギャラリーを借りてくださった、Works-Mさんの新作公演「DOWNORDUSK」があったので行ってきました。
8mくらいの白いスクエアの中で7人が踊る、80分ほどのコンテンポラリーダンス。タイトルの「DOWNORDUSUK」は「日の出か日没か」という抽象的な意味どおり、内容も抽象的であまりストーリー性がない(あるのかもしれませんが、私にはよくわからなかったです)ものでしたが、その躍動感に80分という時間が短く感じられました。特に後半部のパワフルなダンスが圧巻で、ダンスで鍛えられた体は男女問わず、何て美しいのかと感動しました。
とはいうものの、今一番印象に残っているのが、最初にでてきた女性のゆっくりと動く、まるで能の歩みのようなすり足。そこに能の「隅田川」(母が子供をさがす狂女物)を思い出しました。ゆっくり歩くことで何千里も歩いたことをあらわすので、これもそんなことを意図しているのかもしれないと、勝手に思ったりしました。(制作の意図はわかりません)学生のときはよく能をみていましたが、もう何十年もみていないのに、そんなことを思い出したのが不思議な気がしました。
コロナ対策で、観客を白いスクエアのまわりに40名弱しかいないという贅沢な環境。 先日行った歌舞伎座も、座席は一つ置き、桟敷席もなし、さみしい感じはするけれど、本当に好きな人だけが来ているという心地よい空間で、今回も同じことを感じました。美術館も予約制で人数制限しているところも多いし、涼しくなってきたし、今のうちに気を付けながら芸術を堪能したい、そんなことも感じました。
コンテンポラリーダンスの公演をみるのは初めて。こういう機会を与えてくれたWorks-Mさんに感謝です。