コロナ騒ぎの残すもの
一昨日の朝日新聞天声人語に、興味深いことが書いてありました。天声人語のライターさんも新型コロナウィルス禍を鑑み、テレワークをしているが、それなりの苦労もある。会社の資料室にある資料をみたくてもみられない、職場の会話からヒントをもらっていたのが得られない。紙の本の深さや仕事仲間の会話の大切さを思い知った。というのがその内容でした。かたや、SNSでは、「テレワークにしてみたら快適」という内容のこともちらほらみられます。
私個人は今までとほとんど変わらない仕事をしているので、実感としてはないのだけれど、ネットや新聞などをみているとなるほどそういうこともあるのかと思わせることも多いです。
人それぞれ、仕事の内容にもよるけれど、コロナ騒ぎのおかげで、何が必要で何が必要でないのかの切り分けができ、今まで変えたくても変えられなかった仕事体系が変わるのかもしれません。もしそうだとすれば、コロナも悪いことばっかりではないのかも。
いやいややはり、いろいろなイベントの中止や外出の自粛、マスクや消毒関連のものの不足、挙句のはて、デマによってトイレットペーパーやティッシュが店頭からなくなるなんてことは勘弁してほしい。経済の落ち込みもすごいだろうし、はやく収まって、前を向ける社会に戻ってほしいものです。
今週の展示は「第3回 ジュリエットの数学 個展「捕馬/traumatic」」。水彩画のイラスト展です。大人になりかけた少女の優しくてさみしい世界に、少しスパイスを加えた、そんな感じの展示です。「ジュリエットの数学」という作家名は、寺山修司編の詩集「ジュリエットの数学」からきているそうです。会場にその詩集も置いてあるので、展示とあわせてご覧ください。10日まで。
早咲きの桜
ギャラリーに行く道すがら、これからの時期はいろいろな花が咲いていて楽しいです。 今は途中のお寺の梅がきれいですが、同じお寺に、ソメイヨシノよりはピンクの色の強い桜が咲いていました。
早咲きだし、ピンクの色が強いので河津桜の一種?と思いましたが、暖かい伊豆地方ならともかく、2月の東京でもう桜ですか、今年ははやいなぁ~。そういえば、その近くにある、いつもソメイヨシノより10日ほどはやく咲く、さくらんぼの木にもつぼみがついていました。今年は楽しみがもうすぐなんですね。散る桜はさみしいけれど、これから咲く桜にはうきうきします。こういう気分って他の花にはないような気がします。
悪名高い「桜を見る会」も、「桜」だからそういう会が催されたのかもしれません。華やかで美しく、かつはかない桜は宴を楽しむのにはぴったりです。もちろん権力の誇示や税金の無駄遣いで使われたくはないですが。
今年は「桜を見る会」もないし、コロナ肺炎のせいで、桜をみながらのどんちゃん騒ぎも少ないかもしれません。だとすると優雅に桜も咲くことができるかもしれませんね。
さまざまなこと思ひ出す桜かな 芭蕉
今週の展示は「eyes -Aoi Nishida/Misaki Kamata exhibition-」。女子美術大学4年生の2人展です。油絵・ドローイング・インスタレーションの展示。観る位置でかなり印象が変わるので、いろいろな位置から、いろいろな角度から、ご覧ください。25日まで。
東京
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」の言葉どおり、あっという間に1月が終わり、2月に入りました。ギャラリーでは、「RESISTANCE」という二人のモノクロ写真展開催中です。
この写真展でテーマにしているのが「東京」。新宿や渋谷や池袋など300枚ほどの東京の写真を所狭しと展示されているのは圧巻です。
東京、1000万人以上の人が住み、無秩序で雑多な騒音がし、ある意味では醜い。半面多様性があり、パワーにあふれ、遊び心があり、便利で、そしてある意味では美しい。私はずっと東京に住み、ほんの8か月ほどの海外での生活を除いて、他の地は住んだことがありません。東京のよいところも悪いところも知らず知らずのうちに受け止めてしまい、すべてが当たり前になっているような気がします。そして、東京以外に住むことはもはや考えられないのですから、多分東京が相当好きなのだと思います。
この展示は、そんな私に「東京」を再認識させてくれました。特に、普段訪れれば硬質なビル群の、丸の内の夜の写真がとても美しい。そう思うのは私が都会っ子のせいなのかもしれません。
そういえば、この写真展のタイトルは「RESISITANCE」抵抗者という意味ですが、もし私がタイトルをつけるとしたら「EVERYDAY」とかつけてしまいそうです。
受け止め方は人それぞれです。是非自分自身の「東京」を感じにいらしてください。2日間だけの展示なので、明日(2日)までです。
クラウドという概念
新しい年が始まり、ギャルリー・ジュイエでも今年初の展示「黒で魅せる2」が始まりました。
年末・年始と慌ただしい日々がなんとなく過ぎていってしまったのですが、まとまった時間ができるので、パソコンを買い替えてゆっくりとセットアップしていました。
それで、すんなりセットアップできたかというとそうでもありませんでした。とにかく自分でパソコンを所持しだしてから23年、ギャラリーをはじめてからも16年以上ですので、けっこうな量のデータが入っています。データのほとんど写真なのですが、100Gはゆうにこえています。
で、何が困ったかというと、Windows10にはOne driveというクラウドサービスが無償でついてきます。クラウドサービスとはWEB上にバックアップをとっておける優れもののサービスではあるのですが、無償でつかえるのは5Gまで。それ以上は有料です。最初に注意深くやらなかったために、標準の設定をしてしまい、自動的にOneDriveが使えるようになってしまいました。ローカルのパソコンと同期がとれてしまうので、あっという間にOneDriveの領域がいっぱいになってしまう上にどのファイルが同期されたのかが完全に把握できません。おまけに「OneDriveがもうすぐいっぱいになるので、領域を広げる(もちろん有料)か、fileを削除せよ」云々のメッセージがしょっちゅうでききてうっとおしい。けっきょく、OneDrive内のfileを削除して、リンクを解除、100Gをこえるデータを入れなおしました。これでいいかどうかは若干不安ではあるのですが、快調に動いています。
しかしこのことは、クラウドということを考えるよい機会になりました。ずいぶん前から言葉としては知っていたけれど、自分が使うとなるとピンときませんでした。WEB上に自分のスペースを置くということではレンタルサーバーもそうなのですが、ホームページではないプライベートのデータをWEB上におくということが、今やOSの標準についているというのに時代を感じます。便利といえば便利ですが、目にみえないだけに不安も感じる私はもはや古いのかもしれません。
あぁ、そういえば、iphoneのicloud(これもクラウドサービスです)も、もうすぐいっぱいになるので、しょっちゅう警告がきてます。こっちはそんなにデータないし、写真もパソコンと同期がとれて便利だし、月130円だからアップグレードしようかなと思っています。何も考えてないとIT社会では生きていけなくなりそうです。とほほ。
今週の展示は「黒で魅せる2」。ペン画家 時雨と金魚切り絵作家 雅人による二人展。ペン画と切り絵のコラボレーションがとても素敵です。大小約200の作品が並ぶ圧巻の空間に是非。21日まで。
イギリスのEU離脱の雑感
時は12月、なにかと慌ただしい時節になりました。年が終わり、新しい年がもうすぐ始まるというだけのことなのに、何故か毎年せかされるような気がしてなりません。
この時期に、イギリスが来月EU離脱というニュースが入りました。選挙での与党圧勝でほぼ決定とのこと、あの国民投票から3年半、やっと決まったのねという感が強いですが、もし、これが日本だったらと思うと、このあいだの英国民の不安やいらだちってどれほどのものだったのだろうかと思います。いや、まだ決定ではないらしいので、まだまだ続くのかもしれません。
イギリスは日本と同じ島国ですが、イングランド、スコットランド、ウェールズ(この辺はラグビーワールドカップで記憶に新しいです。)そのうえ、北アイルランドもあり、それぞれの民族感情があり、日本よりかなり複雑なのではないかと想像できます。そのうえEUに属しているので、せめてEUとの関係を切りたいという感情もあるのかもしれません。(もちろん移民問題や貿易問題もあるでしょうが)
新聞に「英国人は欧州人にはなれない」ということが書いてあったけれど、そんなことがEU離脱の根本にあるのかもしれません。いずれにせよ、イギリスにとって、EUにとって、世界にとって良い方向に進むのが理想だし、そうあってほしいと思います。
今週の展示は「PARTY ― FIELD EDGE DESIGNZ, 2019 2nd TOKYO EXHIBITION ―」。当ギャラリーでは3回目の展示です。革製品とバッグの展示・販売、クオリティの高いハンドメイドの革製品はとても見る価値があると思います。金属作家のClystal Moon様とのコラボ作品もあり、ギャラリーがキラキラ輝いているようです。17日まで、是非お越しください。
トラベラーズチェック
トラベラーズチェックというのをご存じでしょうか?海外旅行時に使える旅行者むけの小切手のようなもので、換金率がよく安全度が高いので、かつてはよく使われていましたが、2014年に販売中止されたそうです。
そのトラベラーズチェックの残りがひょっこりでてきました。10000円の円建てのものでした。たかが、10000円されど10000円というわけで、換金できるか調べてみました。
旧富士銀行で購入したcitycorpのトラベラーズチェックなので、まずはみずほ銀行でしょってわけで調べたら、換金できそう。早速外貨取り扱いがある一番近い荻窪支店に電話してみたところ。どうも外貨両替ショップのほうが話がはやそう。
そんなわけで、先日みずほの外貨両替ショップがある新宿に行ってきました。駅から近いけどわかりにくく、しばしうろうろして、やっと見つけた両替ショップ、聞いてみたら「ここでは換金できない」とのこと(やっぱり(涙))諦めかけたら、「三井住友の両替ショップなら大丈夫かも」とのこと。で行ってみたらここでもダメ。結局ここで教えてくれた3軒目のSMBC信託銀行プレスティアで換金できました。このあいだ新宿をうろうろすること1時間以上。でも、新宿内でことが済んだので、まず新宿に行ってみてよかったです。
いやはや、お金はほっておいてはいけませんね。先日ブログに書いた休眠口座の時もちょっと苦労したし、昨今は2年以上出し入れがないと口座管理料なるものをとる銀行もあるみたいだし、しっかり管理しないとね。そういえばまだあるかも、少額しか入っていないあの口座、チェックしてみなければ(汗)
今週の展示は「うちらが最高になるには」。絵画・立体・写真・工芸の展示。美術系高校出身の仲良しさん9人展。多ジャンルにわたる若き感性を感じに、是非お越しください。10日まで。
ないものから想像するータカハシカオリ個展
金曜日より、ギャラリー企画展「タカハシカオリ個展 “shape/colors"」が始まっています。
作家のタカハシカオリさんが、「今回の新作は色を塗らず粘土の色そのままに、質感や落とす影によって形を楽しんでもらえるよう制作しています。」と言っているように、いつもとはがらりとかわった作風に、ご来廊の皆さまからも驚きの声が聞かれます。
色がないものからあるものを想像するのは難しい。しかし、想像が膨らんでくると、それは楽しさに変わり、時に色は邪魔になったりもします。
ジュイエでは、過去に何回もタカハシさんのワークショップをやっています。それは、タカハシさんの作った胴体に頭をつけて、色付けするというもの。ワークショップ前の胴体を見るのが楽しみでした。そこからどんな作品が出来上がるのかを想像するのが楽しい。私の思った通りになったことはほぼなく、参加の皆様の感性に感心したり、たまには期待外れだったり...完成を見る前と後とのギャップの楽しさをいつも味わっていました。
今回の展示中に行われるのワークショップの胴体はこんな感じです。いろいろなものが想像できませんか?色が塗ってあるときには気づかない体の表情や服のしわも感じられるような気がします。
ないものから想像すること、それは頭を活性化させます。もちろん想像させる土台となるものが重要となるのですが、タカハシさんの作品はそれに値するものだと信じます。 展示は26日までです。是非、会場であなたの想像力を巡らせてください。
「あること」に感謝する
少し前にどなたかのブログに、「『お金がない』という人がよくいるが、よほどの困窮していない限り、使えるお金はあるはずである。あることに感謝せずに、ないといっているのは思考がネガティブになりよくない』というような内容が書いてありました。これには痛く同意しました。
確かに、本当はお金を持っているのか、そうでないかはわからないけれど、「お金がない」と言っている人はよくみかけます。そして、そういう人とはあまり付き合いたくないなと思ってしまいます。それはそのネガティブな思考からでる負のオーラをこちらに呼び込みたくないからかもしれません。
お金があることに感謝する、いやお金に限らず、家族や恋人や友人や時間や夢や、あることに感謝するのは大切なことなのかもしれません。その姿勢がポジティブにつながります。まぁ私はおめでたいほど前向きなので、そんなこと考えなくてもいいよと言われそうですが。
でも、あまりいないけど、「お金がある」としょっちゅう言う人も信用できなくて、あまりそばにいてほしくないと思うから不思議です。けっきょくのところ、あまり口に出さずに、心の中で「あること」に感謝するのがいいのかもしれません。
今週の展示は「布でつなぐ、友情をつなぐ ― 崔ヒジュと19人のポジャギグループ展」。ポジャギとは、韓国の伝統工芸で、パッチワークに近い薄手の布のことで、その透け感が繊細で美しいです。教室を開いている崔ヒジュさんは、韓国だけではなく日本の教室の生徒さんともギャラリーで発表するのが夢だったそうで、そのお手伝いができてとても嬉しいです。私に「ギャラリーがあること」に感謝。19日まで、是非お越しください。
歌舞伎座ギャラリーと謎解き
タカラッシュが主催している銀座木挽町謎掛心中噺という謎解きがあります。
この謎解きの場所が、なんと「歌舞伎座ギャラリー」で、歌舞伎好き、謎解き好きの私にはずせるわけがありません。というわけで行ってきました「謎掛心中噺」
そもそも、新しい歌舞伎座ができてから何十回も行っているくせに、歌舞伎座ギャラリーには行ったことがありませんでした。初めて行った歌舞伎座ギャラリーはなかなか楽しいところでした。舞台でつかう馬に乗ったり、波の音をだしてみたり、舞台下手側にある黒御簾(下座音楽を演奏するところ)に入って、鳴り物を鳴らしたり、白拍子花子(道成寺)の烏帽子をかぶってみたり、きゃっきゃしながら、これが楽しいったらありません。
しかし、歌舞伎座ギャラリーだけを楽しんでいるわけにはいきません、そう今日に謎解きに来たのです。謎も解かなければー。最初のほうなので、謎も難しくないので、そんなに時間がかかるわけがないのですが、ギャラリーと謎解き両方楽しまなければいけないので、やたらと時間がかかります。
けっきょく、後半はどこででもできるということなので、お持ち帰り。家でじっくり最後まで謎解きをしました。
歌舞伎が好きな方、歌舞伎に触れてみたい方にはお勧めの謎解きです。
蛇足ですが、instagramにこのときの写真をあげたら、歌舞伎座ギャラリーが中心だったにもかかわらず、タカラッシュ様オフィシャルからコメントをいただきました。「これからも楽しんで頂ける企画をお届けできるように頑張ります」とのことで、社交儀礼かもしれないけど、これからが楽しみで嬉しいです。ありがとうございます。
今週の展示は「第9回レッドバンブー展」。当ギャラリーでは3回目の美術系高校の同級生のグループ展です。水彩画、人形、アートボックス、掛軸表装など多彩なジャンルで楽しい展示です。天井からさがっているものまでじっくりとご覧ください。12日まで。
にわかファン
ラグビーが面白い。ワールドカップが日本で開催されて、しかもベスト8に残ったということもあって、日本中が大興奮。テレビカメラの精度があがり細部までよく見れて、またルールの説明も丁寧にされていてわからないなりにも楽しめます。そもそもラグビーは日本ではそれほど盛んなスポーツではなかったので、そこいら中ににわかファンであふれています。もちろん私も。
ずーと昔に、明治大学の名スタンドオフ、松尾雄次選手(かっこよかったのです。)見たさに秩父宮ラグビー場や国立競技場に見に行ったことがあります。そのときもわからないけれど、友人に説明してもらったり、その力強さやスピード感、なによりもパスの体系ができたときの美しさに感激して、とても面白かったことを記憶しています。
その後めったに見ることはなかったけど、何十年もたってまたわからないなりに見ている私は筋金入りの「にわかファン」だなーと感じます。
しかしながら、「にわかファン」という言葉、どうしてもプラスよりもマイナスな感じが否めません。英語だと
「bandwagon jumper」(楽隊車に飛び乗る人)とか、「fair-weather fan」(好天時だけのファン)とかいうらしく、まぁそうなんだけど、これもあまりいいイメージではないような気がします。
でも、このラグビー人気の「にわかファン」は、”にわかファンでもいいじゃん、みんなで応援しようよ”というようなプラスの意味も込められているような気がします。言葉の意味も時代によってかわっていくのかもしれません。だったらすごいね、このラグビー人気。
今週は「志津雅美・中村いわね展」、石彫の展示です。本物の石もありますが、石そっくりの石もあり、重厚さと遊び心のある展示です。是非お越しください。29日まで。