ウクライナ侵攻に思うこと
中学生の頃、1年上の先輩が白血病で亡くなったということがありました。あとで聞いたところによれば、被爆2世だったそうで、「もはや戦後ではない」という頃に生まれた私にとっては、戦争とか原爆の恐ろしさを身近に感じる初めての機会でした。
最近、ロシアがウクライナに侵攻したというニュースが毎日のようにトップで流れています。プーチン大統領は核武装も辞さないと言っているそうで、これが、私の中学の時のこの記憶をよみがえらせました。戦争はいやだ、その時代の人どころか、戦争を知らないはずの次の世代にも影響を及ぼすような、核をつかった戦争なんてもってのほかです。
ロシア(プーチン)側にも言い分はあるでしょうし、ネット上にもプーチン擁護、ウクライナ批判の意見もちらほらと見かけます。少数の意見も無視すべきではないとは思いますが、それらを考慮したとしても、沢山の人の日常を壊すような行為は断じて許されることではないと考えます。
今ギャラリーでは、チベットの作家さんの展示をやっています。小さなギャラリーのジュイエでも、時々海外の作家さんが展示してくださいます。このような平和で優しい時間が、ずっと続くことを願ってやみません。
今週は、チベットの作家のパクパジャブ個展「新しい町」です。絵画、半立体、映像の展示。ジャンルは多岐にわたりますが、全体としてまとまりのあるインスタレーション要素のある空間になっています。チベットにいたときは風景画などを描いていたそうですが、それでは日本に来た意味がないので、全く違うジャンルでの個展になりました。それが展示タイトルの「新しい町」にも表れているようです。 素敵な展示です。3日間だけですので、是非お越しください。7日まで。
一円切手
62円やら82円やらの切手がでてきたので、無駄なく使うために1円切手と2円切手を買いにいきました。
私は以前からある、郵便の創始者たる前島密の1円切手が気に入らない。「日本近代郵便の父」と呼ばれているくらいだから、日本郵政が残したいというのはわかるんですけど、あの古臭い感じがどうもねーと思って、1円でいいところを2円切手を貼っていました。
でも、最近可愛いぽすくまの1円切手がでたと聞いていたので、1円切手はそれしようと「可愛いほうの1円切手を10枚」とお願いしたら、シートじゃなきゃ売らないとのこと。シートは50枚、えー、50枚もいらないんだけど…
しかたない、前島密切手で我慢するか、2円切手をふやすかと迷ったときに、ふと気づきました。「50枚って50円じゃん。」 このシール状の切手50枚で50円です。
作るのに絶対50円以上かかるでしょ。そうかそれでもつくらなきゃいけないのか、前島密切手が気に入らない人って多いのかもね。そう思うと不思議なもので、この1円切手シートを買って、得した気分になりました。たかが1円、されど1円、この切手大事につかうことにします。採算がとれなくてもつくらなきゃならないなら、消費税分おまけしてくれてもいいような気がするけど、ダメなんだろうなぁ。
今週の展示は、「ふたご星の煌めき」 当ギャラリーではおなじみ、架空想さん主催の、23名の作家によるコミックアートの展示です。今回は「ふたご」がテーマ。作品も会場もきらきら、Twinkle Twinsをお楽しみください。21日まで。
梅一輪
昨日、通り道のお寺のしだれ梅が花をつけているのを見つけました。ここのしだれ梅はいつも近所で一番先に花を咲かせます。そして、あぁ春がくるんだなぁと感じる一瞬を、私に届けてくれます。去年は確か1月にはこの光景をみたはず、今年は少し遅い。おととい雪も降ったし、また雪が降るという予報もあるし、今年はいつもより寒いんだなぁと、1輪の梅の花がいろいろ教えてくれます。
そして、昨日ある方の訃報をききました。年齢も百歳、あっという間に逝ってしまわれたそうで、大往生と言っていいのでしょうが、ご家族の寂しさはいかばかりのものかと心が痛みます。
昨日見た梅は、なんだかこの方の旅立ちを見守っているように感じました。死は悲しいけれど、誰しもに必ずやってくる。そんな時にみた梅は、凛としていて、残された方が前を向けるような、そんな気がしてなりません。
1輪の梅に思いをはせる。春はもうすぐ、確実に近づいています。
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梅一輪、一輪ほどの 暖かさ 服部風雪
今週の展示は、「の、もと。展」 東京藝術大学工芸科の5人展。彫金、陶芸、染色、ファッションなど、「ふれる、しる、そうぞうする。わたしたちのもと。」がテーマの透明感のある展示です。ギャラリーが優しい雰囲気に包まれます。是非お越しください。15日まで。
オミクロン株
2022年初めの展示「福迎えの呪」が始まっています。年の初めにふさわしい「縁起物」がテーマの展示で会場も美しく彩られています。
さて、そんな素敵な展示とはうらはらに、コロナのオミクロン株がまん延し、東京都には、再び「まん延防止等重点措置」がでてしまいました。今日の東京の感染者は1万人越え、こうなるとどんなことをしていいのやら、途方に暮れてしまいます。
ワクチンにしたって、3回目って本当に有効なの、今までと同じワクチンでオミクロン株に効くの?私はファイザー製だったけど、3回目モデルナ製で大丈夫なの?とかわからないことだらけです。
ただ、コロナに慣れてしまったせいか、オミクロン株は重症者が少ないせいなのか、発祥の地の南アフリカが今までと比べて短期間で収束に向かっているらしいし、8月の第5波のときも、いつのまにか収まってきたのを体験しているせいか、あまり怖さを感じていません。じっと待っていれば、第6波はすぎさってくれるのでは、と大した根拠もないのに、思っている自分がいます。
それは、世間の風潮もそうのような気がします。第5波のときの東京の感染者数の倍以上でありながら、緊急事態宣言はでていないし、いつもに比べて楽観的な気がします。都知事の「感染は止める、社会は止めない」という言葉にもそれが垣間見れます。
本当にそれでいいのか?とも思います。
けっきょく、今まで通り、手洗い、消毒、マスク、不要不急の外出は控えるってこと以外思いつきません。なんにせよ、コロナは6波で終わってほしい。どうぞ7波がきませんように。
今週は前述の「福迎えの呪」、22名の作家によるコミックアートを主とした展示。コロナ禍ですが、無理せずに素敵空間にお越しください。24日まで。
怖いのは人間
昨日、大阪の中心で火事がありました。冬場は火事が多いものですが、ビルの4階、25平米が燃えただけなのに、死者24名って何故?と思ったら、引火するような液体を暖房器具の横において蹴るという、考えられないような放火だったらしいです。亡くなったかたには、心からのご冥福をお祈りいたします。
火事で多大な犠牲者がでるのは、たいていの場合放火が原因なのではないでしょうか?京都アニメーションの火事もしかり、20年ほど前の、新宿の雑居ビルの火災もそうだったように記憶しています。雑居ビルで避難しにくいということを差し引いても、放火でなければ、こんなにも多くの犠牲者はでなかったのではないかと思います。
話は違いますが、最近東京では、アメリカから帰国したオミクロン株のコロナ濃厚接触者が、14日間の自宅待機と誓約書まで書きながら、おそらく恋人と2日間もともにし、その恋人と思われる人が熱がありながら、会社やサッカーに行って、けっきょく両者とも感染していたということがありました。これはあまりにも軽率で、誰もが迷惑千万な話と感じたに違いありません。
こうなってみると、一番怖いのは人間。大きな目でみてみれば、各地で災害が起こっているのだって、地球温暖化が原因というのがほとんどだし、その地球温暖化だって、けっきょくは人間がしてきたこと。なんだかなぁっていう感じです。
自分だけよければそれでいいという考えを捨てて、すべての人が他人のことも考えて生きられれば、もう少し住みやすい世の中になるんじゃないかとつくづく思います。
今週は「凍星に柔らかなぬくもりを」、23名の作家によるコミックアートを主とした展示。冬の寒さに負けないようなふわふわもこもこなイメージがテーマです。架南さんが主催されるコミックアートの展示は当ギャラリーで今年7回目、今年最後のジュイエの展示にふさわしいです。是非お越しください。20日まで。
渋谷再開発
テレビの番組で、「渋谷のスポットで写真を撮り、そのあと地下鉄銀座線で外苑前駅に40分以内で行く」という課題をこなすということをやっていました。これはなかなかいい企画。なにしろ渋谷は再開発で大きく変わっている上に、銀座線は地下鉄といえど、2階にあります。そして、渋谷を通る数多の電車の中で、外苑前駅に行くのは銀座線しかなく、普段電車に乗らない人にはかなりハードルが高い問題です。
皆さん苦戦していて、見ていて面白かったけど、私も今年の2月に、渋谷で迷った経験があります。さすがにこの課題はこなせると思いますが、人のことは笑えません。
渋谷には、美術館やギャラリー、映画館、劇場など沢山あるので、決して行かない場所ではないのです。高校も青山にあったから、若い時からけっこう行っているはずなのに、なぜか苦手です。自分の目当てにしているところが渋谷だと、「えー、渋谷かよ。いやだなぁ」という気になってしまいます。まして、現在再開発真っ最中、迷いそうでできれば行きたくありません。
ところで、渋谷再開発っていつ終わるのでしょう?ヒカリエも再開発のひとつだったはずなので、かれこれ10年近く前からやっているはず。調べてみたら2027年まで再開発が目白押しだそうで、なんだか気が遠くなりそう。渋谷を避けているうちに、知らない街になってしまいそうです。
今週は、forget-her-not 2021-2022 Winter & Spring collection ”Doodle Notes”、セレクト古着とリメイクによるコレクションの即売です。初日の一番初めにいらしたお客様の第一声が「可愛い~!」でした。ファンタジックで少し大人っぽいコレクションに是非お越しください。7日まで。
広瀬仁美さんの個展
11月の初めに「27日からギャラリーを貸していただけますか?」という広瀬さんからのメールがとびこんできました。通常は1か月を切ったご予約は受けないことが多いのですが、広瀬さんなら大丈夫、2つ返事でOKの返信をしました。
広瀬さんは、かつて「カクレンジャー」の鶴姫、「シュシュトリアン」の花子と芸能界で活躍されていた方、いっとき結婚や出産で芸能界を離れていたのですが、最近はまた戦隊もののゲスト出演などで、復帰されています。俳優業、主婦業のかたわら絵も描かれているというスーパーレディなのです。
ジュイエでは3回目の個展、いつもギリギリのスケジュールながら、きっちり間に合わせてきます。今回ももちろんそうでした。
そのうえ、今回の展示は1回目、2回目とは全然違う。以前は月をモチーフとした、お母さんを思わせる優しさの中に強さを感じるイラスト中心の展示でしたが、今回はジュイエスペースの特徴を生かした、左が「暗」、右が「明」という構成です。特に「暗」の部分の無彩色に近い作品が、過去2回の個展とは全く違うのです。前回の個展は今年の4月、短期間でここまで変えてくる作家さんはみたことがありません。ご自身の写真(モデルとしても素晴らしいです)とも組み合わせていて、作品とのマッチングも素晴らしく、広瀬さんの魅力満載の、この人にしかできない唯一無二の展示になっています。
広瀬さんのファンの方はもちろん、そうでないかたにも見て頂きたい展示です。2日間だけですが是非お越しください。明日(28日)までです。
一流のオーラ
将棋の藤井聡太さんが、最近竜王になって4冠になったと思ったら、王将の挑戦権も得たそうです。もしかすると来年初めには5冠、しかも10代でです。すごい。
将棋のことなど、駒の動かし方と王将をとったら勝ちというくらいしか知らない私ですが、ここまですごいとついついニュースを追ってしまいます。将棋の戦術はわかりませんが、全国各地をまわって対戦するハードなスケジュールとか、各地の昼食やおやつなど、変なことに詳しくなってしまいました。
そして、大リーグでMVPをとった大谷選手、最近はテニスばかりで野球をあまり見ていなかったのですが、こうなるとこちらも気になる、分業化が進んでいるプロ野球で、リトルリーグや高校野球のようにエースで四番というようなことを、大リーグで実現しています。満票でMVPって本当にすごいことだと思います。
テニスといえば、錦織選手やビッグ4と呼ばれる選手が全盛のころは、面白くて、何とかしてみたいとインターネットを駆使して見ていたのですが、最近はジョコビッチ選手以外の活躍が今一つで、テニスは気になるけれど前ほどではなくなってしまいました。
これらの選手に共通するのは、その競技を極めようとして努力するのはもちろんのこと、純粋に競技を楽しんでいるように見えること。そのオーラが自然と人を惹きつけるということではないでしょうか?
「華がある」という言葉がありますが、人だけでなくアートにもそれがあります。ギャラリーでも華のある、またはその片鱗を感じる作品に出会うことは、少なからずあります。そういう作品が世に広がるお手伝いができるといいなぁと思う今日この頃です。
今週は、「第10回レッドバンブー展」。ジュイエでは4回目の多ジャンルのグループ展です。10回目という節目の展示でさらにパワーアップしています。あちらもこちらも楽しめるこの展示に、是非お越しください。23日まで。
札幌にオリンピック?
Twitterに驚きのツイートをみつけました。2030年に札幌冬季五輪が開催されるかもしれないということ、しかも内定が今月中に発表の可能性があるって、びっくりですよ。
過去をひもといてみれば、1964年の東京オリンピックの8年後に、札幌で冬季五輪が開催されています。だからといって、昔と今では全く事情が違います。
今回の東京オリンピックは、そもそも国立競技場の設計から変更し、マークが盗用だとしてコンペやり直し、コロナで1年延期とかいろいろありました。始まってみれば、すったもんだの末の無観客、開会式関係者の不祥事による相次ぐ辞退、弁当や消毒液の廃棄、おまけにコロナ拡大の遠因など、少し考えてみただけでもこれくらいはでてきます。おまけに、当初予算の何倍にもなって莫大なお金もかかっているし、今後の経済効果が期待できるとも思えません。
選手の高度なパフォーマンスを見るのは楽しかったけれど、それだけかなぁと感じます。
札幌オリンピックっていったい何のためにやるんでしょうか?9年後には、コロナはなくなっているかもしれないけれど、これからの日本の財政状況を考えると不安は大きいです。どうせまた予算の何倍にもふくれあがるだろうし、使うべきところにいかなくなるのは容易に想像できます。大丈夫なのだろうか、日本。
このツイートをあげた方も「うそでしょう? ほんとうにやめて!!」とつぶやいていらっしゃいましたが、全く同感です。どうぞこのニュースこそフェイクでありますように。
今週は、塔間基個展「わたしのくすり」、イラストと球体関節人形の展示です。少し奇妙なタイトルですが、作家の塔間さんには、創作は「くすり」のようなもので、展示はその産物なんだそうです。展示の印象はカラフルですが、その奥に辛さや希望がみえる気がします。壁いっぱいのイラストは見ごたえあり、是非お越しください。16日まで。
ハイブリッドな薔薇
ご近所に大輪の美しい紫の薔薇が咲いていたので、思わずパチリ。
茎のところに名前が書いてあったので、目を移すと「ハイブリッドティーローズ」とありました。
薔薇でハイブリッドっていったいなんぞや?
ハイブリットといえば、ハイブリッドカー、ガソリンと電気と両方を動力とする車です。あとは、かつてはCDのソフトにハイブリッド版というのがあって、MacとWindows両方で動くソフト、それくらいしか思いつきません。2つ(あるいはそれ以上)の方式を組み合わせた製品という意味じゃないのでしょうか?うーんわかっているようで、よくわかっていない言葉です。
ちょっと調べてみたら、ハイブリッドは「生物学で、異なる種類・品種の動物・植物を人工的にかけ合わせてできた交雑種。」という意味もあるようです。イノブタやレオポンなんかがそうですね。薔薇は特に品種の改良がさかんで、ハイブリッドな薔薇とは、その総称ということらしいです。 ハイブリッドティーローズはその中でも四季咲きで大輪の花をつけるものをいい、その中でもさらに細分化されているようです。詳しい説明はこちらにあります。
なるほどねぇ、薔薇に詳しい人なら常識なんだろうけど、ハイブリッドってそういう意味なんですね。美しい薔薇の背後に、交配してつくった人の苦労が、名前から垣間見れるような気がします。そして、注意深くみていると思わぬ気づきがあるもんだなぁと思います。ぼっと見ているだけではいけませんね。
今週の展示は「JET LAG」、先週に続いて、武蔵野美術大学2年生のグループ展です。イラスト、映像の「レトロな遊園地」がテーマの展示です。楽しくて、すこしだけ物悲しいノスタルジックな、4日間だけの遊園地に是非。8日まで。