地震と台風と酷暑と
8月8日に宮崎に地震がおき、南海トラフに関連のある地震で、今後30年間におこる可能性が70~80%とか、恐ろしいと思っていたら、翌日に、神奈川で、南海トラフとの関連がない震度5弱の地震。その後東北横断という珍しい台風5号、ほっとする間もなく、超大型の台風7号が関東をかすめていきました。南海トラフには関係なさそうなところは、台風と、日本列島大荒れでございます。
今年の夏は、毎日のようにどこかしらに線状降水帯ができて、大雨が降るし、恐怖感を感じるような最悪の夏となりそうです。
その上、数年前から、夏は本当に暑い!
先日、「子供のころは冷房なんてなくて、扇風機だけでもすごせた」とか「30℃を超えると、おぉ、夏だねーって感じだった」そんな話をしました。ほんの数十年前、地球規模でいえば短い期間なのに、隔世の感があります。
地震や台風には恐ろしさが先にたって怒れない気がしますが、暑さには怒れそう(根拠はなんだ?笑)。あー暑い、暑い、なんでこんなに暑いんだ、なんとかしてくれぃ。はやく秋になってくれ、と怒ってみたけれど、効き目ありますかね?
今週の展示は、青龍ノ宴「いほとせの御伽噺 作品展」、3月に上演された演劇の舞台衣装と、舞台写真などの展示。煌びやかな衣装や写真は、華やかな舞台そのもの。舞台の雰囲気を再度味わえるという珍しい展示です。演劇、特に舞台衣装は間近にみられるので、興味のあるかたは必見です。20日まで。入場料500円
パリオリンピック
パリオリンピックが始まりました。オリンピック大好き、ましてや舞台はパリ。
知っている人はよく知っているのだけれど、私は無類のフランス好き(フランスかぶれともいう)、ギャラリーの「ジュイエ(Juillet)」という名前も、絶対フランス語の名前つけるという強い意思をもって?つけたものです。
フランスの中でもパリが好き、10回くらい行っているし、2か月くらい友達のアパルトマンに居候していたこともあります。
そんな私が、セーヌ川を舞台にした開会式をみて、感激しないわけがありません。
随分前に、セーヌ川のディナークルーズのバトームッシュに乗ったことがあります。薄暮から闇になる中でライトアップされたパリの街の美しさをいまだに鮮明に覚えています。あのセーヌで、あの美しいパリの街での開会式、そして、フランス人の感性、いいに決まってるじゃない、なんかずるいとさえ思ってしまいました。
おまけにパリの街を歩きつくしているので、この方向なら何があるとかわかってしまう。ルーブル美術館からカルーゼルの凱旋門、テュイルリー公園に向かう道も、頭の中でたどっていけてしまう、テュイルリー公園の中なら、内緒で気球の聖火もつくれるなぁなんて想像もできてしまいます。2倍も3倍も楽しめる開会式だったのは、パリならではです。
そして、時折聞こえるフランス語にも、心が落ち着かされます。(はしゃぎすぎw)
7月31日から2週間、ギャラリーは夏休みに入ります。さぁ2週間、オリンピックとパリを堪能するぞー。
今週の展示は、「好一対」二人展、彫刻、オブジェ、油絵などのインスタレーション。大胆でパワフルな作品たち、2人の作品が呼応して空間を作り出しています。酷暑の夏に負けないような展示です。是非お越しください、30日まで。
水引と竹と和紙とニャンドゥティ
昨日から始まっている「むすんで かさねて つながって」の搬入の時、水引のモビール作品をみて、"あれっ、何かみたことある"と感じました。
その作品はこれです。
そうだ、3年半ほど前のニャンドゥティの展示のときの作品と似ているのです。
ニャンドゥティとは南米パラグアイの刺繍糸を編んでつくるレース編みのことを言います。ニャンドゥティの技法は結びとかがり、こんなところも水引作品と共通点があります。材料は糸と和紙という違いはありますが、細く長いものを編んでいくのも同じです。
当時の展示写真をさがしてみると、タペストリーのように編んだり、アクセサリーをつくったり、仮面のようなものを天井から下げたりと、印象は全く違うものの、2つの展示に共通点が多いなぁと感じました。
当時の展示写真です。
日本的な水引、竹、和紙をつかった作品と、日本とは遠く離れたパラグアイのニャンドゥティに共通点があるのが、面白いと思います。そして伝統的なるものは、どの地のものであっても心惹かれるものなのですね。歴史があるって凄い!水引が竹が和紙が、そしてニャンドゥティがいつまでもアートとして残れば、こんなに素敵なことはないと思います。
今週の展示は、上述の「むすんで かさねて つながって」 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科の学生さんの2人展。水引、竹、和紙をつかった作品の展示。和の素材から洋を生み出す作品の面白さをお楽しみください。 繊細でとても素敵な展示です。少し変わったタイトルもみるとまさにと納得します。是非お越しください。23日まで。
「よっ友」
先月の美大生の展示の時、自らの展示に関連して詩集を出している方がいました。「etude」という題名の短歌仕立てのその詩集はなかなか興味深いものでした。
その中に「よっ友」という知らない言葉がでてきました。「よっ友」って何?「よっ、友~」かなと思いましたが、それでは意味が通りません。
そこで、知りたがりの私は早速ネットで調べてみました。どうやら、例えばキャンパスで久しぶりにあった人に「よっ、元気」とあいさつするだけの友人、いっしょに遊びにいくわけでも、積極的に話すわけでもない。いってみれば、通りすがりの友人のことを「よっ友」というらしいです。
なるほどね、三十一文字の中で表すには、もっとも適当で簡潔、言葉選びに感心してしまいました。
知らないことに出会うと、今も昔もたいてい調べてみます。今はネットがあるからすぐだけど、それがない以前の私でも、間違いなく調べているはずです。まずは広辞苑あたり、でも多分載っていないので「現代用語の基礎知識」を調べてみる。それでもだめなら、知っていそうな人に聞くかなぁ、そんな経路をたどると思います。ネット以前は大変だったけれど、答えにたどりついたときは今よりずっと嬉しかった気がします。
「よっ友」という言葉、若い人はみんな知っているのかな?少なくとも私世代の人は知らない人が多いのではないでしょうか? こういう言葉がちりばめられている詩集に出会えたことに感謝です。
今週の展示は、TAISUKE WADA Solo Exhibition2024 Special "SUMMER" Week 「Seize the Day」、和田泰右さんのオリジナルブランド「T-RyGHT」(ティーライト)の新作POPUP SHOPです。 写真やアクリル画の大作もある、めちゃおしゃれな空間に、是非お越しください。9日まで
マンションの解体
国立の新しいマンションが、来月引き渡しにもかかわらず、解体することになったというニュースがありました。このマンションは法令的には問題はなく、解体の理由が「景観を著しくそこねるため」だそうです。これには驚きました。
このマンションの面する通りは、「富士見通り」といって、富士山が遠くに見えるので、この名がつけられているようです。解体予定のマンションができたことによって、富士山が半分見えなくなるからということらしいのですが、なんだか釈然としません。計画段階で、富士山がみえなくなることはわかっていたはずだし、百歩譲って、わからなかったとしても、最上階まで建ちあがった時点で明白なはずです。
そもそも、購入した人はどうなる?当然返金されるだろうけれど、1か月後にせまった引き渡しならば、引っ越しの準備とかしていたはずです。
近隣の人たちだって、長いこと工事のストレスがあっただろうに、また解体工事のストレスに悩まされるわけです。そして、工事に使われた資材や労力、すべて無駄になります。このSDGsの時代になんてこった。私には直接は関係ないけれど、かなり腹がたちます。
もしかすると、「景観をそこねる」以外に、各ニュースにもでてこなかった、私たちのあずかり知らぬ理由があるのかもと疑いたくもなります。いずれにせよ、不愉快なニュースだなぁと思います。
今週の展示は、「金の卵」展、武蔵野美術大学、日本画科と空間演出デザイン科の学生さんの3人展です。日本画の岩絵の具が美しく、アクリルや油絵具とはまた違った味わいです。小スペースではミクストメディアのインスタレーション、寝っ転がってみると何かが見えるかもしれません。是非お越しください。18日まで。
紫陽花
6月になったので、トップ画を紫陽花に変えました。
この紫陽花、花(額)が大きくギザギザしていて、みたことないなぁ、葉が紫陽花ぽいけど、本当に紫陽花?と思って調べてみたら、ナデシコガクアジサイというものらしいです。なるほどね、言われてみればナデシコの花に似ています。
昨日見つけたのも可愛い紫陽花。こちらはウズアジサイというらしい。
コロナ禍の時に、あまり外出できなくなったので、近所に咲く花に目がいくようになって、写真を撮り始めました。そして、友達を巻き込んで、こんな花が咲いていたよとお互いラインで送りあうようになりました。今日も上記の紫陽花の写真を送ったら、「カリフラワーみたいな紫陽花があった」と、こんな写真を送り返してきました。
えー、こんなのもあるんだ、「カリフラワーみたいなアジサイ」で調べてみたら「アナベル」というのがでてきましたが、葉の形が違う、さらに調べ進めると「カシワバアジサイ」にたどりつきました。なるほど、カシワの葉のようです。
紫陽花は普通のアジサイとガクアジサイしか知らなかったけど、いろいろな種類があるもんです。隅田川の花火のように華やかだというので、「スミダノハナビ」と名付けられた綺麗ではかない感じの紫陽花もあります。
これらの紫陽花は、特別な場所でみたわけではなく、高円寺や阿佐ヶ谷の通り道に咲いている紫陽花を写したものです。梅雨を彩る紫陽花、いったいどれくらいの種類があるのでしょうか?
それにしても、こうやって近所の花に目がいって、写真を撮るのが楽しくなったのはコロナのおかげ、コロナも悪いことばかりではなかった気がしています。
今週の展示は、下條祐美個展「その鬼ら、宵の灯火に集う vol.2」昨年12月のvol.1に続く鬼の写真展。5人の鬼にはそれぞれの物語があります。鬼気迫る美しくも哀しい鬼の写真、物語とともにご覧ください。写真の鎌鼬の人形は、ある鬼の写真に登場します。11日までの展示です。
歌舞伎町タワーと歌舞伎町大歌舞伎
歌舞伎町大歌舞伎に行ってきました。
この歌舞伎を上演しているのが、歌舞伎町タワーに中にあるシアターミラノ座。歌舞伎町タワーはたしか1年くらい前にできたと思うのですが、どんなところだろうと興味はありました。このあたりは、昔は殺伐とした少し怖いところという印象だったので、わざわざ行くのはちょっとなぁと思っていたので、今回歌舞伎をやる、しかも中村屋ってことでいそいそと行ってきました。
正面はこんな感じです。
歌舞伎町タワー周辺は、リアル脱出ゲームの「Tokyo Mistery Circus」があったり、大きなスクリーンにゴジラがいたりと、昔とは随分変わったなぁという感じでした。
中にはいると、2階のフードコートが新宿らしい感じ
寺山修司を思い起こさせるような昭和な雰囲気、今度はここで食事をしてみたいです。
そして、3階が「namco」
こっちは近未来な感じながら、新宿の雑踏を彷彿するような空間。
そして肝心の歌舞伎は、6階のシアターミラノ座。こじんまりとしてはいるけれど、見やすい劇場でした。3階席下手はじの一番前の席、椅子の奥行が少し狭いのが難点でしたが、よく見えました。
落語の「貧乏神」を題材にした「福叶神恋噺」は、話も面白かったし、シャンパンタワーならぬ味噌汁タワー、歌舞伎の劇場には絶対ないような左右のサイケな照明など、歌舞伎町らしさを出しながらさすが中村屋、いつもより短い2時間あまりの観劇でしたが、十分に楽しめました。
歌舞伎だけではなく、歌舞伎町タワーの雰囲気が、新しいスタイリッシュな高層ビルとは一線を画していて興味深く、いや本当に面白かったです。
新宿の歌舞伎町はなんで歌舞伎なんだろうと思ったことがありましたが、その由来は、戦後すぐに、復興事業の一環として歌舞伎の劇場の誘致をはかったことからだったそうです。なるほどねぇ。この地に歌舞伎を復活させたのは、常に新しいものに挑戦してきたお父さん(十八世中村勘三郎)の意思をついでいるなぁと、歌舞伎ファンとしては嬉しい上演でもありました。
今週の展示は、「living note」医療従事者による多ジャンルのグループ展です。命にかかわる仕事をしている人たちの芸術へのとらえ方を垣間見ることができる興味深い展示です。
3日間だけの展示、27日までです。是非お越し下さい。
歯生え薬
1週間くらい前の朝日新聞に「歯生え薬の治験が始まった」という記事が載っていました。生まれつき歯の少ない「先天性無歯症」に対する再生治療薬で、歯の成長をおさえるタンパク質の働きを抑えるのだそうです。すでに動物実験では成功、2030年の実用化を目指すとのこと。ふーんすごい、新しい歯を生やすって画期的、先天的に歯が6本以上ない人は1000人に1人いるっていうから、そういう人にとっては福音となりますね。 将来的には、歯周病などで後天的に歯を失った人にも使える可能性があるとのことで、もしそうなったら、もっと広い範囲で使えることになります。歯に限らず最近の再生治療薬って、今までできなかったことができるようになって本当にすごいです。IPS細胞でノーベル賞が与えられるわけです。
再生医療ではないですが、私には心臓の回路が2つあり、それによって突然頻拍(1分間160程度)をおこすという「発作性上室性頻拍」という病気をもっていました。過去形なのは2年前にカテーテルアブレーションという手術を受けて完治したからです。血管を通して、心臓の余分な回路を焼き切ることによって、頻拍をおこさなくする、その成功率99%という、しかも体への負担が少ない手術です。
かつては薬を飲んだり、点滴をしたりして一時的におさえることしかできなかったそうで、私はこの手術をして以来、一度も発作が起こっていません。現代医学の進歩ってすごいと実感しました。
いつか、再生治療の恩恵、私にも受けられるのでしょうか?まぁお世話にならずにすめば、それにこしたことはないのですが、ちょっと最新医療にふれてみたい気もします。不謹慎かもしれないけれど、なんかどきどきするんですよねぇー、こういうのって。
今週の展示は、写真展「closet」です。写真展とはいうものの、撮影時に着用した洋服や、部屋のイメージを再現した、映像を含めたインスタレーション的な展示。まるで自分の部屋にいるような心地よい空間です。3日間だけの展示なので、明日(12日)まで、是非お越しください。
5月の展示
私は5月生まれ、そのせいか5月は大好きな月です。
就職したての頃、上司が「僕は一番いい時に生まれた」と言うので、「私もそうですよ」と言い返しました。「じゃいつ?」と聞きあったら、誕生日が同じ日で、顔を見合わせて思わず笑ったということがありました。
2人ともなんて単純でおめでたいのかって感じですが、5月はやっぱりいい月。ここ数年、温暖化のせいか少し暑いかなと感じますが、それでもさわやかで過ごしやすい時期にはかわりないです。ここ数日、気持ち良い日が続いていることだし…
昨日から始まった「魔女っこ展」、魔法少女をテーマにしたイラストのグループ展ですが、コミカルで楽しい展示です。きっと作家さんたちが楽しんで描いているんだろうなというのが、よくわかります。
お客様の服装も華やかな方が多く、初夏の風が吹いてきたようで、新緑を感じさせる、そんな気がします。うん、5月の展示はこうあってほしい。
5月生まれの5月好きの勝手な思い込みもありますが、5月に楽しい展示をしてくださった作家さんたちに感謝です。
今週の展示は、上述の「魔女っこ展」です。ゴールデンウィークに是非お越しください。7日まで。
桜
東京は桜が満開になりました。
ギャラリーの帰りに近所の馬橋公園によってみました。ここはこじんまりとしたよい公園、あいにくの曇天でしたが、桜は満開。徒然草に「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは」(桜は盛りに、月は曇りのないときにだけみるものだろうか)とありますが、盛りにみるにこしたことはない、「絶景かな、絶景かな」満開の桜は心が華やぎますね。
桜といえば、古来からたくさんの和歌がよまれています。ちょっと思いつくものをあげるだけでも、
ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ (紀友則)
世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし (在原業平)
願わくば 花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ (西行法師)
といろいろでてきます。
これらに共通するのは、桜が美しくて感動するというよりは、どこか物哀しさが先にたちます。あぁ桜ってそういう花だよなぁ。咲き出すとあっという間に満開になり、そしてあまり日がたたないうちに散ってしまう。
そういえば、桜は散る、梅はこぼれる、椿は落ちる、牡丹はくずれるというらしいです。散り際の美学は桜だけがもつものなのかもしれません。
こんな豊かな言葉をもつ、日本語は素敵だなと思います。
今週の展示は、「POP's Exhibition」、「POP」をテーマにした美大生の4人展。それぞれのPOPのとらえ方が面白く、皆の発想の豊かさを感じます。9日までです。是非お越しください。