電子マネーが突然消える
1週間ほど前の朝日新聞に「突然消えた電子マネー残高」という興味を惹かれる記事が載っていました。
これは、朝日新聞社の記者が、販売サイトで安く買ったアマゾンの電子マネー(電子ギフト券)が、規約違反で突然消されたというものでした。この背景には、詐欺によって大量に売られた電子ギフト券が販売サイトに出回っているということがあります。そんなわけで、アマゾンが販売サイトでギフト券を購入するのを禁止しているようです。
ちょっと調べてみたら、確かにアマゾン内で転売サイトからのギフト券禁止は謳っていました。しかし、しかしですよ、利用者はこんなところまで見ていないだろうし(もちろん私も)、この記者のかたにしても、販売サイト自体は違反ではないし、金券ショップでギフト券を安く購入するような感じで、気軽に購入したのではないでしょうか?ちょっと得した気分で登録した電子マネーが、あとかたもなく消えていたとしたら、ショックですよねー。
ここまでやる?アマゾンすごいと思いましたが、それだけ詐欺が多いってこと。詐欺をなくすためにも、この強硬手段もしかたないのかもしれません。アマゾンのギフト券に限らず、販売サイトを使うときには気をつけなければということですね。それにしても、知らないうちに詐欺に加担しているかもしれないというのは、デジタルの世界は便利だけどこわいなぁと思います。
今週の展示は「x>1」、武蔵野美術大学油絵学科2年生の3人展です。画風も画材も違うのに、違和感のない素敵な空間になりました。三人三様の絵画をお楽しみ下さい。11月2日まで。
見えないものに対する不安
10月の初めに、東京に震度5強の地震があり、大きな揺れに驚かされました。水道管が破裂したり、電車が脱線したり、翌日の電車のダイヤの乱れもかなりなものでしたが、2,3日後にはすべて元通り、大きな被害はありませんでした。それなのに、多くのメディアでは緊急時の備えが足りない、これからの課題だと取り上げていました。震度5強の地震ってけっこう大変なことなんじゃないでしょうか?フランスの友達からも、「ニュースで東京に大きな地震があったけど大丈夫か?」という連絡もあったので、海外でも報道されるほどの地震だったはずです。大きな被害がなかったのは、むしろ褒められるべきことのような気がします。
さて、コロナのお話。日本では短期間で激減し、今日の東京の感染者は32名、もちろんまだ油断はできないけれど、まあ安心できる水準だと思います。それでも、街中でマスクをしていない人はほとんどみないし、お店でもほとんど手指消毒液は置いてあります。もちろん、私も外出時はマスクをしているし、たまに電車の中でマスクをしていない人をみかけると、そばによりたくないと感じます。ギャラリーにも手指消毒液や、非接触型体温計も常備してあります。換気にも気をつけて、飲食もできるだけ控えるようお願いしています。
海外に目をうつしてみれば、日本くらいの水準になれば、街中ではマスクをしない人が大半になるだろうし、多分街中の消毒液なんてなくなるんじゃなかろうか?この日本人の気質って何なんだろう。日本は災害が多い国なので、危機管理はしっかりしているほうだとは思います。用心深いだけではなく、人の目を気にしすぎるなんてこともあるのかもしれません。
それってどうなの?と思う反面、やっぱりまだまだ油断しないで気を付けようと思う自分がいます。地震にしてもコロナにしても、予測できないものに対する不安は常にあると思います。日本に生まれたらしかたないかも、ですね。
今週の展示は、「kaleidoscope」、イラスト、絵画の4人展です。kaleidoscopeとは万華鏡の一種、万華鏡のように多面性のあるグループ展です。ギャラリーは作品と装飾でキラキラしています。是非お越しください。26日まで。
中央線的な、中央線芸術祭 2021
先週から中央線芸術祭 2021が始まり、その一環として、今、ギャルリー・ジュイエでもスサイタカコ展示「オドルヨウニウタウ ウタウヨウニオドル」が開催されています。
中央線芸術祭とは、JR中央線中野~武蔵小金井のアートスポットで、ワークショップ、展示会、トークショー、パフォーマンスなどを開催するアートのフェスティバルで、今月いっぱい行われます。
アートのフェスティバルというと、一つの会場に多彩なアーチストを集めて、短期間で開催するというイメージがありますが、中央線芸術祭はそれとは少し趣を異にしています。中央線のいくつかな小さなアートスポットで、多彩なジャンルの芸術を、好きなものを選びながら、散歩しながら楽しむ、そんな感じのイベントです。
中央線には独特の文化があります。個性的でスノッブで庶民的でノスタルジックで、ひとたび中央線沿線に住むとやめられなくなる魅力があります。アートスポットが多いのもそのせいかもしれません。このフェスティバルは無理せずのんびり参加できる、すごく魅かれるというわけではないけれど、なんだか気になる、捨てがたい感じがするところが、中央線的な気がします。
昨年の夏、この芸術祭のディレクターの三浦宏之さんの個展で当ギャラリーをご利用いただいたのがご縁で、ギャラリーの使用を打診されたのが、昨年の今頃。詳しい内容がわからないままお引き受けしたのですが、なんと、親しい作家さんのスサイタカコさんの展示、そして、芸術祭の別のプログラムに鈴木誌織さんも参加されていました。鈴木誌織さんもとても親しい作家さん、どちらもジュイエの企画展にも参加してもらったこともあります。こういうつながりも中央線ぽい気がします。縁は異なもの味なもの、ビバ中央線!
今週の展示は、上記のスサイタカコ「オドルヨウニウタウ ウタウヨウニオドル」絵画・オブジェ・映像などの展示。中央線芸術祭の別プログラム、10日に行われたワークショップ参加者の作品もスサイ作品とともに展示されています。スサイさんの作品には不思議な魅力満載です。スサイタカコワールドに是非お越しください。19日まで。
エラーカタストロフの限界
緊急事態宣言が解除されました。もちろんまだまだ気を緩めてはいけないのですが、少しほっとした感はあります。
感染者は8月に急激に増え、東京都は8月半ばには5000人を超えていましたが、昨日(10月1日)は200人、何故こんな短期間に増えたり減ったりしたんでしょうか?
増えたのは、オリンピックで海外からたくさん人が入ってきたり、お祭りさわぎで皆の気がゆるんだこと、感染力の強いデルタ株が急激に広がったこと、などでわかるような気がしますが、たかだか1か月半でここまで感染者が減ったのは何故?
昨年の4月の緊急事態宣言のときのように、東京の繁華街の人流が減ったわけではありません。それではワクチンのおかげ?でもワクチンは5月くらいから打ちはじめているし、私も2回目を7月半ばにはすませています。その後も接種率は増えてすでに50%超えていますから、そうかもしれません。でもワクチンは発症と重症化を予防するものだから、減ったとしても、もっと穏やかに減っていくのではないか、それに急激にふえたのが8月だから、ワクチンでは説明がつかないような気がします。
「コロナウィルスには季節性があり、夏と冬に流行する」という説もあるけれど、まだ暑いし、そんなに急激に減ったという説明には少し無理があるような気がしてなりません。
と、もやもやしていたら『エラーカタストロフの限界』という考え方を見つけました。
「ウイルスは増殖する際にコピーミスが起き、変異株が出現する。その中には増殖の速いタイプのウイルスが生まれ、急速に感染拡大していく。ところが、増殖が速ければそれだけコピーミスも増える。結果、ある一定の閾値を超えると、今度はそのウイルスの生存に必要な遺伝子までも壊してしまい、ウイルスが自壊する」ということが、この記事に詳しく書いてあります。
なるほど、この説が私には一番腑に落ちます。なにごとも急激な変化はどこかにひずみができやすいもの、ウィルスといえど同じなのかもしれません。
いずれにせよ、感染者が減ったことはいいことだし、ウィルス自体が自壊してくれたとすればありがたいことです。また別の変異種がでてくるかもしれないけど、ちょっと安心できる話ではありますね。
今週の展示は「フラッシュバッキング」、えのき・水島郁美・青木雄基による三人展、主に油彩の展示です。三人三様、それぞれのアートへの姿勢が感じられます。是非お越しください。10月5日まで。
凱旋門のラッピング
1980年代の半ばくらいに、とある海外の建築雑誌で、パリにあるポンヌフ(パリで一番古い橋)をラッピングしている記事を目にしました。橋ごと布でくるんでしまう芸術のスケールに驚き、見てみたいなーと思ったことがありました。
つい先日、凱旋門をラッピングという記事を見つけました。えー、これはあのときのあのアーチストに違いない。ポンヌフもすごいけれど、凱旋門のほうがさらに大きく知名度が高い、あの凱旋門を丸ごとくるんでしまうなんてー。と驚き、アーチストのことを調べてみました。クリストというブルガリアのアーチストで、このプロジェクトの構想は60年前。残念ながらクリスト氏は昨年の5月に亡くなったそうですが、没後もチームはプロジェクトをあきらめることなく、この9月に完成したそうです。
なんかすごい。ポンヌフと凱旋門のラッピングといい、レアンドロ・エルリッヒの溶ける家といい、ルーブル美術館のピラミッドといい、元駅だったオルセー美術館といい、こういう芸術を受け入れるフランスもすごい。古き美しき都のパリは、古いものも新しいものも受け入れてしまう。素晴らしいです。
凱旋門を包んだ布は、メタリックなファブリックなので、時間や気候により色が変化するそうです。
本来の凱旋門が見えなくなるので、賛否両論ありそうですが、この一瞬のアート、できることなら観てみたいものです。あー、パリは遠い。
今週の展示は「悠遠レトロジカ」、25名の作家によるレトロをテーマにしたイラストの展示です。レトロな可愛い女の子のイラストはどこかなつかしい感じがします。是非会場でご覧ください。27日まで。
モニタリング検査
先日、阿佐ヶ谷駅を通りかかったとき、PCR検査のバスが止まっていて、そこには「無料」「モニタリング」などの文字がありました。 PCRのモニタリング検査?と興味はあったのですが、急いでいたのでそのまま通り過ぎました。2,3時間後、戻ったときにはもう影も形もありませんでした。
国がやるわけはないし、都がやっているのかと思いましたが、確か第5波の感染拡大で、モニタリング検査はやめているというのを聞いたような気がする、でもちょっと気になるってわけで調べてみたら、杉並区のPCR検査バスによるモニタリング検査だったようです。30代以下の若年層対象らしく、なんだ私は受けられないじゃない、まぁ聞いてみても恥ではないけど、そのまま通り過ぎてよかったなぁと思いました。
感染者が増えたから、都がモニタリング検査をやめている中、杉並区がこんなことをやっているなんて知りませんでした。
日本は感染者数を隠すために、PCR検査はやらないのではないかということが言われて久しいですが、感染者が増えてしまって人手が足りなくてできないというのは、わかるような気がします。そんな中での杉並区の検査の実施は、評価できるのではないかと思います。
それにしても、国がモニタリング検査をしているというのは聞いたことがありません。地方に丸投げしていないで、もっとはやくからこういう検査していれば、今のような状態にはならなかったのではという気がしてなりません。
今週の展示は「二人展 -DOORS-」。当ギャラリーではおなじみのFIELD EDGE DESIGNZ.(fedz.)さんと、今回はABSUTRACTさんとの革製品の二人展。ゲストにClystal Moonさん(宝飾)を迎えて、豪華でにぎやかな展示となりました。すぐれた技術による革製品を是非ご覧ください。21日まで。
若者のワクチン接種
少し前に、東京都が若者のワクチン接種を促すために、割引とかのアプリを考えているというような記事を目にしました。これにはとても違和感がありました。確かに、欧米では、ワクチンを容易く受けられるにもかかわらず、受けない人がかなりの数がいると聞いています。日本でも、統計をみれば、若ければ若いほど接種率が低いという数字がでています。でも日本人の気質から考えると、老若男女かかわらず、7,8割の人は受けるのではないか、今の数字は受けたくても受けられないんじゃないか、そんな気がしていました。もちろん明確なエビデンスはなく(はやりの言葉を使ってみた)、私の感覚にすぎないものではありますが。
そんなことを思っていたら、若者向けの渋谷のワクチン接種会場、早朝から原宿駅まで1キロの列ができたそうです。ほらね、やっぱり。高齢者はワクチンに関しては優遇されていたから、接種率が高いけれど、若い人は受けたくてもなかなか受けられなかったんじゃない。
今回の接種に関して言えば、密をつくったり外出を奨励してしまったりと、見通しの甘さはいなめませんが、よいことだと思います。割引とかアプリとか言っていないで、受けたい人が誰でもいつでも受けられるような接種体制をつくるために税金をつかってほしい。「ワクチン接種促進キャンペーン事業のうち若年層に接種を促すPR費用が7割超」だそうで、ここまでいくとワクチンが足りないのをごまかすため?とすら思えます。
この予算案に対して、野党から修正動議がでているそうで、こういうまともな議員がいると思うと、少しほっとします。
それにしても、最近コロナのことばかりブログに書いているような。はやく、前のようにならないかなぁ。
今週の展示は「夏を弔いて」。23人の作家による夏の終わりを描いたイラストの展示です。 今日も暑いですが、確実に夏は過ぎ去り、まもなく秋がやってきます。そのはざまのわずかな時間の楽しさや哀しさを感じながらご覧ください。8月30日まで。
税収過去最高
7月ももう今日で最後、今年ももう半分を切っています。時のたつのが早すぎます。
さて、1か月ほど前に2020年度の税収の記事が載っていました。 それによれば、税収は過去最高なのだとか。その筆頭は消費税、なるほどおととしの秋に10%にあがったからねぇ。しかし、所得税も法人税も前年度を上回ったそうです。これにはちょっとした違和感があります。
コロナで税収は減るといっていた気がするのだけれど、コロナ以降庶民の生活って苦しくなっていると思うのだけれど、一体何故過去最高なの?けっきょく、コロナって儲けている人や企業はもっと儲けて、貧富の差を広げただけなんでしょうか?
税収が増えたのならば、再度国民全員に給付金を配るとか、飲食店への補償を充実させるとかできそうな気がするのですが、いっこうにその気配はありません。
じゃあ何に使っているのかというと、その筆頭は今開催しているオリンピック?と頭によぎります。選手に罪はないし、見ていれば面白いけれど、なんか釈然としません。おまけに今日(7月31日)の東京のコロナの感染者は4000人超え!これも間接的にはオリンピックに関係してますよね。
いったい日本はどこにいってしまうのでしょうか?税金は使うべきところに正しく使ってほしいものです。
今週の展示は「死と乙女展」奏小雪さん撮影の写真展です。会期中、撮影で使用した衣装も日替わりで展示されています。
写す人と写される人がつくりあげた耽美な死の世界、死は意外と安らかなものかも、そんなことを感じさせる写真展です。8月3日まで。
現金がきらわれる
先日郵便局に行ったときに、ちょっと驚きのことを聞きました。
来年1月17日から、硬貨の払戻し・預入に手数料がかかるそうです。ATMにいたっては1枚から。ということは、例えば、貯金箱にたまった小銭を郵便貯金にいれるとしたら、硬貨51枚以上だと、預けるためにATMなら330円、窓口なら550円手数料を取られるということなのです。
「えっ、預けるのも手数料がかかるんですか?」と驚く私に、申し訳そうな顔で郵便局の人に「硬貨をたくさんもつと金融機関はお金がかかるんです」と言われました。両替に手数料がかかるのはわかる気がするんですが、流通しているお金を預けるのに手数料がかかるなんて!
そういえば、最近銀行のサービスがことごとく縮小され、工夫して振込手数料をなるべくかからないようにしていたのが、他行振込手数料は、私ごときでは、ほぼできなくなっています。ネットバンキング、WEB通帳がすすめられ、そうでないといろいろなサービスが受けられないようになっています。少し前に海外に送金したときも、現金ではダメで銀行口座から引き落とす形で受け付けてもらいました。
私自身もクレジット払いや、suicaやpaypayのようなプリペイドを使うことが多く、現金は使わなくなってきています。が、それにしても現金がきらわれるようになったものです。ひと昔前は現金が一番という風潮だったような気がするのに。
欧米ではすでにそうなっているようだし、誰もがキャッシュレスを考えなければいけない時がきているのかもしれません。
今週の展示は「アルビノ展2021」。22名の作家による「アルビノ」をテーマにしたイラストのグループ展です。儚くも美しい作品が並びます。是非お越しください。26日まで。
橋村誠 個展「邪(ヨコシマ) 」
梅雨が明け季節が変わったので、ジュイエトップ画も変えました。
今回は、今展示中の『橋村誠 個展「邪(ヨコシマ) 」』から、作家さんの許可を得てクジラの絵を載せました。
最近はトップ画は、自分で写した写真を、季節にあったものを載せることが多く、たまに展示の様子とかを載せていましたが、久しぶりにトップ画に使いたいという絵画に出会いました。力強いクジラと鮮やかな色彩が夏にぴったりです。
この絵の作者の橋村さんは、武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科の2年生。ギャラリーに展示の相談にいらしたのが、今年の3月、まだ2年に進級する前のことでした。2020年の入学ですから、コロナ禍で大学内での学びは少なかっただろうし、そのうえ、この学科は新設とのことでした。通常ならば、芸祭などで、展示の経験をすることはできると思うのですが、それすらも中止だったので、展示の経験はないに等しいものだったと思います。
そういう中で、外部展示、しかも個展に挑戦しようという意気込みが素晴らしいと思います。大学のホームページによれば、『高度な「実社会における学び」を重要視』する学科だそうです。ネットで調べて、一からギャラリーをさがして、予約して、初個展をする、そのことがまさに「実社会における学び」なのではないかなぁと思います。
橋村さんは、今後どんどん活動を広げていくと思いますが、まずそのとりかかりをお手伝いできたことを嬉しく思います。
個展は20日まで、心の中を吐露するような激しさと若さを感じる展示です。感染に気を付けながら、是非お越しください。